どうしてこうなった。 「ほら、なまえなにやってんの、早く座りなさい!ヒビキ君おかわりならいっぱいあるからね」 「はーい!先輩先輩!先輩も早くこっちに来てくださいよー」 友達と遊んで帰ると、ヒビキが当然であるかのように私の家にいてご飯を食べていた。 なにしてんだコイツ。 「先輩早くーう!」 「早く座りなさい、先輩!」 「分かったわよ!つーかお母さんまで先輩とか呼ぶな!気持ち悪い!!」 ぜえはあ、と息を荒げながら叫べば、お母さんとヒビキがこそこそと話し出した。 「いやーあねえ。なまえったら反抗期かしら?」 「違いますよお母さん。アレはツンデレっていうんです。口ではああ言ってるけど、本当は照れてるだけなんですよ」 「違うわ!!」 私は華麗につっこみを決めてからヒビキに向き直った。ヒビキは相変わらずにこにこしている。可愛いとか思ってない!思ってないからね!! 「なんでヒビキが私の家にいるのよ」 「それはですね!」 その後ヒビキが話した内容に、私は驚きをかくせなかった。 「夕ご飯の買い物しにスーパーに行ったら、先輩みたいな雰囲気の素敵なマダムが引ったくりにあってたから助けたんですよー」 「そうそう!そしてしばらく話してたら意気投合しちゃってねえ」 「それで俺が先輩の未来の旦那様だって話をしたら、お母さんが家に呼んでくれたんです!」 「とりあえずどこからつっこんでいけばいいの」 ていうかヒビキはどれだけ私の生活に入り込んでくるつもりなんだろう。それを素直に受け入れつつある自分が怖い。 ぼーっとそんなことを考えていれば、2人が楽しそうに会話してる姿が目にうつった。会話に耳を向けると、なにやらとんでもない会話をしていた。 「ヒビキ君さあ、うちの娘のどこが好きなの?」 「そうですねえ…。反応が可愛すぎるトコですかね。最初の頃とか俺が抱きつくとちょっとだけですけど身を固くして、すぐに怒りだすんです。猫みたいですっげー可愛いんですよー。今は慣れたみたいで軽く流すだけですけど。あとは嫌とか言いながら嫌そうじゃないのがこれまたツンデレっぽくて可愛いんですよー。あと性格ちょっと強気なのに怪談話苦手だったり。あとたまーになんですけど、俺の言葉にすっげー嬉しそーに笑ってくれたりするとまじできゅんとするんスよー。先輩可愛いっ…いってー!!なにするんですかー先輩!」 ヒビキの褒め殺しに耐えられなくなり、私はとうとうヒビキの頭を殴った。 「ううううううるさいっ!もう静かにしなさいよ!」 「なまえ先輩かわいーっ」 私が顔を真っ赤にしてそう叫ぶと、ヒビキはとてもとても嬉しそうな顔で笑いながら言った。それに耐えきれず、今度は思いっきりヒビキのお腹にパンチを決めた。 「ぐはッ!ちょっ、今のは褒めたんスよ!」 「うるさいばかヒビキ!早くそれ食べて早く帰りなさい!」 「うー、分かりましたー」 「そんな…お母さんさみしいわ」 「お母さん、また来ますから!」 「本当いい加減にして…」 その後ヒビキはご飯を食べ終わったあと、お風呂まで入ってから、夜の11時頃、お母さんの車で帰って行った。 |