ゆめ | ナノ



「はーい。どちら様でしょうか?」



ドアを開き、相手の姿を確認して、私は頭に?を浮かべた。白い肌に、茶色いふわふわの長い髪。瞳は羨ましいほどぱっちりとしていて、それを長い睫毛が縁取っている。とてもとても綺麗な女の子。あまりに綺麗だから思わず見とれてしまった。



「あのっ」
「あ、ああ。はい!」
「…トウヤ、は?」
「え?トウヤなら…」
「俺ならここにいるけど、何?」



いつ移動したのか、背後にはけだるげに立つトウヤがいた。そんなトウヤは、私の向こう側に立つ女の子に気付くと、大きな目をさらに大きくさせて、その女の子を見た。



「トウコっ、お前…」
「トウヤ…!会いたかった!」



そう言うと、トウコと呼ばれたその女の子は私を押し退けて、トウヤに抱きついた。その様子に、私は呆然とすると同時に、なんだか泣きたくなってしまった。



「…なまえ、わり。俺ちょっと…」
「うん、分かった…。いってらっしゃい」
「っ!おまえっ…、…すぐ帰ってくるから、待ってろ」



トウヤはそう言って私の頭を撫でると、女の子を連れて、どこかへ行ってしまった。ドアがパタンと閉まる。私はそれを、なにをするでもなく、ただただ見ていた。トウヤが行ってしまう前に見た、辛そうな表情が頭をよぎる。

泣きそうな顔をした私に、トウヤは気付いていたんだろうか。



「わけ分かんない…」



もういい。もう、眠ってしまおう。なにも、トウヤのことも、考えられないように。

そう思い、私はソファに座り、瞳を閉じた。



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