「おーい、なまえ」 「んー」 「なまえー」 「ん、…はい?」 私は耳元でのトウヤの呼び掛けで目を覚ました。トウヤはいつから起きていたのか、のんびりとした様子で、ベッドに寝転んでいた。 っていうか、起きてるならなんでトウヤがここに…? そう思い、ふと自分の両腕の位置を確認すれば、しっかりとトウヤの背中にまわっていた。私が起きるのを待っていたのか、なんて思い、申し訳ない気持ちが込み上げる。 「起きた?」 「…起きた」 「なんでここに寝てんのか、覚えてる?」 「覚えてない」 トウヤは私の言葉に、ただふーんと頷くと、こちらに向けていた身体を、仰向けにして布団に沈ませた。 「また寝るの?」 「おー」 「じゃあ私、部屋戻るね」 「おー」 言ってからトウヤの部屋を出て、私は自分の部屋に駆け込むように入った。ドアをパタンと閉めてから、私はドアに背を預けて、床にズルズルとへたりこんだ。 「なんなんだ、私…」 なんでトウヤと話すのにこんなにドキドキしなくちゃいけないんだ。とうとうおかしくなったのかもしれない。 深いため息をついたところで、ピンポーンと、聞き慣れたインターフォンの音が鳴り、私は玄関へと小走りで向かった。 |