ゆめ | ナノ



疲れた。
今日の学校はその一言に尽きる。朝の出来事以来、休み時間毎に、私の机の周りは常に沢山の女子が群がり、どうにかトウヤにお近付きになろうと、私にトウヤのメアドを要求してきたり、家に呼べと要求してくる。出来ればそういったことに関わりたくない私は、それを軽く受け流し、どうにか逃げることに成功した。今日一日で確実に3歳は老けた気がする。ソファに腰掛け、ため息をつけば、ちょうど帰ってきたであろうトウヤに、すごい顔で見られた。



「なにお前。なんでそんなに疲れてんの?」
「いやあー。トウヤ、アンタって本当にモテるんだね」
「え、なに、今更?」



カバンを下ろし、そう言ったトウヤがあまりにさりげなかったので、さっきの発言は聞かなかったことにした。



「で、なんで疲れてんの?」



私の顔を覗き込むようにこちらを見ながら、ソファに座ったトウヤ。そんな姿が様になってて、頼りがいがありそうで、年下であることも忘れて、抱きつきたい衝動に駆られた。しかしそれはいけない。我慢だ。



「いや、深い意味はないんだよ。女子怖いとか思ってないし」
「なんかあったんじゃねーか。しかも俺関係、だろ?」
「まあそうなんですけどねー」



トウヤはうじうじと言い淀む私のおでこにペシンと叩くと、ため息をついた。



「なんだよ、言えよ」
「でも、別にトウヤが悪いわけじゃないし…」
「いいから言え」
「…はい」



トウヤの迫力に負け、今日のことを説明すれば、心配されるでもなく、謝られるでもなく、爆笑された。



「爆笑かよ!」
「だって…お前、自分で暴露してんじゃんっ!まじバカッ」
「それは言わないで!」



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