ゆめ | ナノ



「おはよー」
「ちょっとなまえ!」



学校に着いて友達であるコトネに挨拶すれば、コトネはずずいと顔を寄せてきて、なにかの写真を私に突き付けてきた。



「な、なに?」
「この写真!なまえ、彼氏出来たの?!」
「え?彼氏?」



コトネの言葉に、頭の中に沢山のはてなが浮かぶ。
彼氏どころか最近は周りに男の子すらいないんですが…。



「惚けても無駄よ!これが紛れもない証拠!しかも相手は隣高一のイケメン、トウヤ君とかどういうこと!」
「え、トウヤ?!」



その写真は、昨日一緒に買い物に行った時に撮られたであろう写真だった。トウヤがエコバックを持っている。
っていうか、トウヤってそんなに有名だったんだ…。



「しかもこんな買い物帰りみたいな…まさか、同棲!?」
「いや、コトネ落ち着いて…」
「これが落ち着いていられますか!」



ガタリと立ち上がったコトネに、私は慌てて声を掛けるも、ヒートアップしたコトネの勢いは止まらない。
あーもう!



「だからっ…トウヤは私の弟なの…!」



瞬間、教室がシーンと静まり返った。勢いに任せて言った言葉は、意外に声が大きく、教室中に響き渡る。私がやばい、と思ったときには、時既に遅し。



「ちょっとみょうじさん。トウヤ君って隣高のトウヤ君だよね?その話詳しく聞かせてくれない!」
「う、あの…」



クラス中の女子に質問責めされる中、コトネを横目で見れば、両手を合わせて必死にゴメンと謝っていた。私は今の状況に、ただただ、ため息をつくしかなかった。



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