「で、なに買うんだよ」 「さあ?まだ決めてないし」 「…無計画かよ」 お父さんと2人で住んでいたときに使っていた、行きつけのスーパーに行き、綺麗に陳列された棚を見る。沢山の食材を見て、なにを作ろうか考える。 「トウヤなに食べたい?」 「食えるもの」 「それ、遠回しに私が料理出来ないっていいたいの?残念ながら料理は得意ですー」 本当かよ、なんて目で見てくるトウヤを無視して、さくさく進む。すると目にはいった新じゃがの「とうや」に私は思わず笑ってしまう。 「なに笑ってんだよお前」 「なんでもなーい。さて、なにを作ろうか」 「肉」 「あ、カレー食べたくない?」 「おい、無視すんな」 なおも肉と言い続けるトウヤを無視して、私はカレーの材料を買い物カゴに入れていく。じゃがいもはもちろん、とうやをチョイス。 「そういえば、カレーの辛さはどうする?甘口?辛口?それとも中辛?」 「ふつーに甘口だろ」 「え、意外」 トウヤが希望した、甘口のカレールーもカゴに入れ、会計を済まして家に帰る。お父さんが再婚するまでは一人だった帰り道。今は荷物持ちと二人、並んで帰る。その事実が嬉しくて仕方なかった。 「トウヤも一緒にご飯作る?」 「んー、俺はいい。テレビ観たいし、めんどくさいし」 「めんどくさいってアンタ…」 なんだかんだうるさくても、私の言うことをしっかり聞いてくれるし、それなりに楽しいし、トウヤが新しい家族になったことに、感謝しなくちゃいけないな。 「なにニヤけてんだよ。気持ち悪い」 前言撤回。 |