ゆめ | ナノ



4日間よろしくの意味が、家に帰ってようやく分かった。



「なんで知ってるなら言わないのよ!」
「面白そうだったから」
「私は全然面白くありません」



家に帰れば、いつもはあるはずのお母さんの姿がなく、朝は寝ていたお父さんの姿もなかった。どういうことだと疑問に思い、トウヤの部屋に行けば一言。



「新婚旅行でハワイ行った」



新婚旅行でハワイ…?

その事実に私は数分固まってしまった。新婚旅行でハワイ。しかも4日間も家を留守にする。ってことは4日間トウヤと二人っきりってことでしょう?



「無理無理まじ無理絶対無理トウヤと二人とかまじ無理」
「ぶっとばすぞお前」



トウヤが拳を構えたので、とりあえず黙った。それにしても、トウヤには言って私には黙って行くなんて、どういう了見よ。父コラァ。



「なんか面白そうだから黙ってろって父さんが」



とりあえず、父は帰ってきたらお説教するしかない。そんなことより、4日間トウヤと2人きりというのが1番の問題だ。



「トウヤって料理出来る?」
「カップラーメンなら作れるけど?」
「洗濯は?」
「まあ。洗剤ってあれ1本入れればいいんだろ?」
「掃除」
「無理」



トウヤの返答に、私はため息をつくしかなかった。大体の予想はついてたけど、これはひどい。トウヤに家事は任せられそうにない。仕方なく私は立ち上がる。



「どこ行くんだよ?」
「買い物。なにか買いに行かないと、夜ご飯の材料もないし」
「あそ。いってらっしゃい」
「そうじゃなくて」



ヒラヒラと手を振るトウヤの襟首をむんずと掴み、立ち上がらせる。



「痛ってーな…なんだよ」
「なにも出来ないトウヤ君に、お仕事です」
「はあ?」



なんだお前、とでも言わんばかりの顔でこちらを睨んでくるトウヤに、にっこりとした笑顔を向け、私はエコバックを差し出した。



「荷物持ち、よろしくね?」



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