爽やかな風、空は青々として心地好い陽気。そんな青空の下、私は大きく深呼吸。そして校庭に駆けて行って叫んだ。 「球技大会日和だー!」 あはははは、と一人楽しく校庭をくるくる回る私をグリーンが呆れた目で見ていたけど気にしちゃいけない。なんたって今日は球技大会。 「なんだってお前そんなにテンション高いんだよ」 「だって球技大会だよー!授業がないって最高」 「そういう意味か…」 横でグリーンが大きなため息をはいた。そのため息には「お前みたいな運動音痴が球技大会好きとかありえないもんなー」って気持ちが含まれてる気がしてならない。 「そういう意味ってどういう意味よ?」 「ん?だってお前みたいな運動音痴が球技大会好きとかありえないじゃん?」 ワーオ!グリーンの考えてること分かっちゃったよ!最悪!ていうか地味に失礼だなコイツ。私の運動神経なめんなよ。 「つーか、そろそろじゃねーかー?」 「そろそろって、何が?」 「せんぱあああああい!」 「あ」 「ほらな」 校庭の端の方から、すごい速さでヒビキが走ってくる。グリーン、預言者か。ふとグリーンの方を見れば、すでに姿はなく、一人で逃げ出していた。遠くで「バイビー」とか言ってる。グリーンのウニ頭爆発しろ! 「先輩!先輩!先輩はなんの競技に出るんです?」 「テニスだけど…」 「まじっスか?俺もです!」 「お揃いですね!」なんて言って笑ったヒビキに不覚にもときめいてしまったのはここだけの話です。 「先輩なんか顔赤くないですか?」 「はっ?!えっ?!ときめいてなんかないからね!!」 いきなり眉を寄せて顔を近付けてきたヒビキに、焦りながら距離をとる。ついでに余計なことを言ってしまった。 「いや、ときめいてくれてたら嬉しいですけど、そうゆうんじゃなくて…」 「え?」 ヒビキはんー、と少し考えるそぶりを見せたけど、すぐににっこり笑って言った。 「もしかしたら勘違いかもしれないです」 「…そう?」 「でも」 いつもと違う、ふわっとした笑みを浮かべて、私より大きな手で私の頭を撫でながら言った。 「あんまり無理しちゃ駄目ッスよ?」 不覚にも、またときめいてしまった。 |