「お腹すいたー」 「せんぱーい、お菓子食べます?」 「はあ…疲れた」 「疲れたときははい!チョコレート!」 「あああ…肩こった」 「俺揉みますよ!その変わり、手が滑っても文句言わないでくださいね!」 「なにをする気だ!ていうかなんでヒビキがこの教室に当然のようにいるのよ!」 「愛の力ですよ」 「ああ、そうですか」 当然のように私の隣の席に座って、ゴロゴロと喉を鳴らしながら腰にまとわりつくヒビキを引きはがして、私はため息をついた。 「おいお前ら」 「あ、グリーン」 「げ、グリーンさん」 顔をあげれば、不機嫌そうにこちらを睨むグリーンがいた。 「げ、じゃねーよヒビキてめえ。そこが誰の席だかわかってんのか!」 「先輩の隣は俺の席って決まってるんですよ?知らないんスか?」 「知るかバカ!早くどけ!もう授業始まるんだよ!!」 「いーやーでーすー!先輩の隣がいーいー!」 言いながらぎゅうぎゅう抱きついてくるヒビキを無視して、次の授業の用意を始める。 「おい、なまえ。お前からもなんか言えよ」 「ヒビキ、ハウス」 「わん!分かりました」 「ヒビキ、お前それでいいのか…」 「いいんですよー。先輩への忠誠っぷりなら、犬にだって負ける気無いッスから」 グリーンの問い掛けに清々しい笑顔で答えたヒビキは「なまえ先輩!また来ますねー!」と投げキッスをして自分のクラスへ帰って行った。 「俺、時々ヒビキ見てると、自分が無力に思えてくるわ」 「グリーンは元から無能でしょ?」 一瞥して言ってやれば、グリーンは「クソヤロー!」と叫びながら教室を出て行った。 |