「…、え?」 みょうじの言葉に、俺は驚きを隠せなかった。今、たしかにコイツは俺を好きだと言った。あんなに酷いことしかしなかったのに、それでも俺を好きだって。途端に頬が熱をもつのが分かった。 俺もそうとう重症みたいだ。 俯き、顔を覆って泣くみょうじの背中に腕をまわした。思えばコイツをこう呼ぶのは、3回目になる。 「なまえ」 小さい身体を腕におさめて、名前を呼んでやれば、みょうじは小さく肩を揺らした。未だ涙が止まらないのか、小刻みに肩が揺れている。その姿がなんだかおかしくて、俺はふっ、と笑った。 「なまえ」 「…はい」 小さく返事して、こちらを見たのを確認すると、みょうじの顔を覗き込むようにしながら、優しくキスをした。 「…ん」 小さく声を漏らしながら服にしがみつくみょうじの唇に、噛み付くようにキスする。薄く目を開けて、みょうじがしっかり目をつむっているのを確認すると、そのまぶたにキスしてから言った。 「俺もお前が好きだよ」 その言葉に、みょうじは驚いたようにこちらを見る。俺は微笑すると、みょうじの頬を撫でた。 |