「よっ」 インターフォンが鳴って、急いで玄関まで行き扉を開ければ、見慣れた人物が顔をのぞかせた。 「ユウキ君!」 「遊びにきた」 そう言ってニッと笑うと慣れた様子で靴を脱いで、私の部屋へと上がり込んだ。私がユウキ君を追い掛けて部屋まで行けば、勝手知ったる他人の家、を体言するかのように、クッションを枕にして寝転がりテレビをつけてみていた。 「あー疲れた。なまえ、コーラ」 「コーラって…」 一体この男はなにをしに来たわけ…。 高校生になり、私は家からかなり離れた場所で、一人暮らしを始めた。ユウキ君とは幼なじみで、昔から仲がよくて、私はユウキ君が大好きだった。そんな、実家とは離れた場所に住む私に会いに来てくれた。しかもただ会いに来てくれただけじゃない。今日は私の誕生日なのだ。 少なからず期待していた私がバカだった! 「ユウキ君」 「ん?」 「帰れ」 「は?!」 ユウキ君の腕を掴みぐいぐい引っ張る。ユウキ君は驚いたようにこちらを見ていたけど、私の必死な様子を見て、ため息をついて言った。 「はいはい、分かったよ。帰ればいいんだろ帰れば」 その言葉に私は押し黙る。本当は帰って欲しくないし、一緒にいて欲しい。 「それじゃあな。せっかくプレゼントも持ってきてやったのに。誕生日なのに一人っきりで、寂しくて泣いても、俺は知らないからな」 「泣かないもん…って、え?!」 ユウキ君の言葉を聞き、顔を上げてユウキ君の顔を見る。ユウキ君はしてやったりというような顔をして、こちらを見てニヤリと笑った。その顔を見て、私は謀られたんだと気付いた。 「誕生日おめでとう、なまえ」 「…あり、がとう」 「嬉しすぎて泣けてきた?」 「…うるさい、よ」 「なんだその顔、ぶっさいくな」 嬉しすぎて泣く私を見て、はははと笑ったあと、ユウキ君は私をギュッと抱きしめながら、耳元で言った。 「でも、不細工で意地っ張りで素直じゃなくて可愛いげもないけど、そんななまえが俺は好きだぜ」 「!」 「プレゼントは俺、なんてどう?」 その言葉に爆発しそうになりながら、真っ赤な顔をユウキ君の肩にうめて、小さな声で言った。 「うん、いただきます」 チョコレートみたいに甘い恋 0911 大好きなちよちゃんへ! 誕生日おめでとう! |