2222*リサリサ様へ





またこの状況。またこの光景だ。自分の歳の数よりも多くこの光景を目にしているに違いない。大袈裟にため息をつく。そして腕を上げて殴ろうとする。その素振りを見せれば、大抵のことは自分の思い通りになるのだが、この時ばかりはそうはいかない。ので、殴る。悲鳴とも似つかわない下品な声をあげられる。随分と聞き慣れたものである。拗ねてしまったのか外方を向く。少し待ってみるが此方を向く気配もない。全て予想通り、今迄通りだ。今迄の通りにすると、僕はこの子供みたいな爺を置いて先へ進むのだ。ついてこないが、構わず進むと不貞腐れた表情でトボトボと付いてくるのだ。今日もやはりそうしようと、一歩踏み出したところで裾を捕まれた。

「私疲れたってば!ぱんらはぎ!」
「だからどうしろと?」
「だから近くの宿で、」
「了承するとでも?」
「思わないよ…」
「もう少しですから頑張りなさい」
「君のもう少しは聞き飽きたー…」

裾をぎゅっと掴んで、ぐいぐいと引っ張る。おや?今日はいつもと違うな、と様子を見る。色素の薄い目が此方を見つめる。眉をハの字にして駄々をこねる様は、そこらの子供よりも質が悪い。しかし、甘やかしたら負けだと自分に言い聞かせ、無理矢理にでも進もうとする。今までに無い力で裾を掴むので、中々前へと進めず埒が開かないので、得意のチョップをお見舞いする。

「痛いよ曽良くん…ダブルで痛いいいっ」
「いいから歩きなさい」
「だってー」
「なんですか?」
「足挫いちゃったみたいなんだ」

初耳だ。何故もっと早くに言わなかったのだろうと思うが、きっとこの爺のことだ、心配を掛けたくなかったとでも言うのだろう。辺りを見回すが、生憎近くに宿屋は無い。早くしないと日が暮れてしまう。ここは先を急ぐしかない。これはそのために必要不可欠なものなのだ。不可抗力でもいい。

「…曽良くん?」
「いいから早く」
「でも君、背負い投げするだろ…?」
「しませんよ、絶対に」
「本当?」
「早くしないと置いていきますよ」
「ごめんごめん乗る乗る!」

温もりが背中にどんと乗った。ありがとうと呟いたそれは、体温に負けないくらいの温かい笑みを浮かべているのだろう。



おなかとせなかがくっついた。




fin.



大変永らくお待たせいたしました!!
曽芭で日常の一コマです…!リクエストにお応えできているかは謎ですが、受け取って頂ければ幸いです…!

この度はリクエストありがとうございました!


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20110324.

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