● 罪の証
悲鳴、怒声、罵声。響き渡る汚い言葉。傷だらけの身体に、更に増える傷口。痛いですと言うことも出来ず、増える痛みを必死に噛み殺した。ぐちゃぐちゃにされるかと思った。めちゃくちゃにされて、息絶えるんではないかと思った。怖くて怖くて、ただ泣きじゃくることだけしか出来ない。そんな夢を、毎晩のように見る。
とある主人の財産をすべて持ち出して、必死の思いで逃げ出した。豪遊続きのその男は、財産を失って没落したと風の噂で耳にした。着の身着のまま走って逃げて、この財宝の代わりに身分が欲しいと、そう伝えて貴族の仲間になった。自分を追い詰めた、怖くて恐ろしい、そんな種類の存在に遂に自分もなってしまった。
夢は、いつでも自分が殺される瞬間。刃物で傷つけられて、最後には、首を飛ばされる。魘されて目を冷まして、怖くて眠れなくなる。毎日だ。もう、気が狂ってしまいそう。
だから、次第に眠ることすら怖くなった。起きていても、いずれ殺されるのでないかと。そんな毎日を送って、いつの間にかこんなにも自分を愛せない自分が生まれていた。

「ねえ、神様……世界は残酷すぎます……」

独りぽっちの大きな部屋で、ぽつんと呟いた。枕元にはあの時の宝石がひとつ。これは、罪の証だ。
2015/02/28 12:54

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