02


軽く頭を下げて飛んできた拳をかわし、相手の逞しい手首を掴む。それをしっかりと握り込んだまま、ぐいと下に引っ張ると、金髪の大男は僅かによろめいた。体勢を崩した瞬間を逃さず、ネズミが鳩尾に強烈な拳を叩き込めば、ぐっと息を詰まらせて金髪はあっけなく昏倒した。
間を置かず、今度は赤髪の大男の方が背後から飛び掛かってくる。ネズミは振り返らぬまま、回し蹴りをくらわす。それがうまいぐあいに顎にヒットし、赤髪は吹っ飛ぶ。その勢いのまま路地の壁に激突し、赤髪も脳震盪を起こして意識を飛ばした。
ものの10秒ほどで二人の大男を伸したネズミは、悠然とスキンヘッドに向かい合う。
スキンヘッドは、紫苑の頭上に腕を振り上げたまま呆気にとられて固まっていた。
ネズミはゆっくりと歩いてスキンヘッドの正面に立った。
「悪いけど、そいつ、返してくれない?おれのなんだ」

頬に垂れた前髪を耳にかけなおし、微笑みかける。

「…はっ、なに墓穴掘ってんだ、イヴ?こいつが潰れてくれりゃ、おまえさんも有り難いだろうが」

紫苑を壁に押し付けたまま、スキンヘッドは言う。
ふふん、とネズミは綺麗に口角を上げて冷笑し、一歩足を踏み出す。

「おれ、小物じゃないから、そんなの関係ないんだよね」
「小物だろうが大物だろうが、おまえさんの店、何のバックもついてないじゃねえの。おれたちとこんないさかい起こしちまってよ、大丈夫なのかい。夜道には気をつけないとなあ、イヴ?」

暗に暴力団の権力をほのめかすスキンヘッドに向かい、ネズミは蠱惑的な笑みを浮かべたまま凄む。

「…ぐだぐだ抜かしてんなよ。早くそいつ離せ」
「ふん」

スキンヘッドはにやりと歯を剥き出しにして笑い、どんと紫苑を突き飛ばす。

「わっ、」
「っ、紫苑?」

突き飛ばされた勢いでぶつかってきた紫苑を咄嗟にネズミは受け止めたが、紫苑はかくりと膝を地面につく。どうやら足も怪我をしているようだった。

「紫苑、だいじょ…」

頭上に殺気を感じ、はっとネズミは顔を上げる。

しまった。油断していた。

スキンヘッドの繰り出す拳が目の前に迫る。

避けられない。もし避ければ、紫苑に直撃してしまう。

ネズミは紫苑を両手で抱え込み、かたく目をつぶった。


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つづきます…


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