どういうコトなの!?


がちゃりと、少し錆びて軋むドアを開けて、紫苑は地下の部屋に入る。

「ただいまー」

いつも、ネズミの方が帰りが遅いことが多く、返事があることは少ないが、紫苑は必ずそう言うことにしていた。
この日も、おかえりという返事は返ってこない。

あ、やっぱりネズミはまだ仕事か…と思ったが、ふとベッドの方を見遣ると布団がふくらんでいる。

「ネズミ?いるなら返事してくれてもいいのに…。あれ?ネズミ?…調子悪いの?」
「うるさい。近寄んな」
「…ん?なんだかきみ、今日は声が…高くない…?」
「いいから、来んな紫苑っ」


!?


ネズミを心配する紫苑が、その拒絶に聞く耳を持つはずもない。
紫苑はネズミの言葉を無視して、ベッドに近寄る。

「ちょっと、どうしたんだよ、ネズミ」

ネズミは布団にくるまり、ベッドの壁際ぎりぎりまで後退している。

「…あ、分かった。きみ、きっとまた何か怪我して帰ってきたんだろ。それで、ぼくに傷の治療をされるのを嫌がってるんだな」

紫苑の声が低い。
ぴくりと、ネズミの肩が震えた。

「ちょ、いや、紫苑、ちが…」
「じゃっ、何だよ。怪我したんなら、ちゃんと消毒しなきゃだめだ。いいから、見せてみなよ」
「違う、本当に…、し、紫苑、やめ…」

紫苑はまるで母親のように、問答無用でその布団を剥ぎ取る。

しかし、目の前に現れたネズミの姿に、紫苑は大きく目を見開いた。

「な…っ、ネズミ…きみ」

ネズミは顔を真っ赤にして、ベッドの隅でできるだけ小さく体を丸めて三角座りをする。
ふてくされながらも開き直って、紫苑に凄む。

「なんだよ」

でもそれは、いつもより声が高いせいか全く迫力がない。

「ネズミ…っ、ネズミ…!」
「だから、来んなって言っただろうが、紫苑」
「ぼ、ぼくの目がおかしいのかな、ちょっと、ほんとに、きみ…どうしたの?」

ネズミは…ネズミは、女の子になっていた。



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