日向ぼっことペロペロキャンディー


今度から紫苑の通う小学校には、いつも「朝の時間」というものがあるらしい。朝のホームルームの前の時間だ。
その時間の使い方は季節によってさまざまで、秋から冬にかけては「長縄」をするらしい。その最終目標は、冬のクラスマッチ。特に6年生の気合いの入れようは他学年とは違うらしい。

そんな説明を校庭の隅で担任から聞かされながら、紫苑はこれから級友になる皆がぴょんぴょん跳ねる様子を眺めた。





長縄が終わり、生徒たちは教師に急かされながら教室に戻る。
紫苑は、まだざわつくクラスにおそるおそる足を踏み入れた。

「みんな、今日から仲間が増えるぞ。紫苑くんだ、仲良くしろよ」

力河という名前の、少しタバコの臭いのする中年教師が紫苑を紹介する。
こんな時期に転校生?という好奇の目線の集まるなか、紫苑はぺこりと頭を下げる。

「紫苑です。父の転勤で転校して来ました。よろしくお願いします」

ぱらぱらと拍手がおきる。
はにかみながら少し笑い、できるだけクラスメイトと視線を合わさないように教室の後ろの壁を見つめる。

…え?

不可抗力だった。
紫苑は一対の瞳に引き寄せられるように、目を合わせてしまっていた。
周りから、音が消える。

灰色の瞳。美しい双眸。
そして、人形のように整った容貌、少し長めの黒髪、透けるような白い肌。

一瞬、女の子かと思った。
でも、その子はワイシャツに短パンを履いていた。
紫苑と目が合うと、彼は形の良い唇の端をほんの少し持ち上げ、にやりと笑った。

「じゃあ紫苑、イヴの隣の席にでも座れ」

突然、もとのざわざわした空気が戻ってくる。
どのくらい、何秒くらい見つめていたんだろう?
かあっと顔に血がのぼるのが分かった。

赤面しちゃいけない、余計恥ずかしいじゃないか。
そう思えば思うほど、頬に熱が集まり、引いてくれない。
紫苑は消え入りそうな声で、はいと呟くと、灰色の瞳を持った男の子の隣の席へ向かった。



タイトルは、さまよりお借りしました。


|


←novel
←top





×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -