本題のない恋患い


!)学パロ、エイプリルフール


目の前の席に座るこいつの頭ばかり眺めているせいで、どの授業もちっとも頭に入ってこない。

あの髪に触れてみたいと思ったのが最初だった。
綿のようにふわふわとしていて、光にあたるときらりと輝く、珍しい白髪。
一度だけ手を伸ばして、その髪に触れたことがある。

「ん?なに?」
「…桜の花びら」
「え?」
「あんたの髪についてた。ほら」

小さな花弁を見せてやると、ほんとだ、とそいつは無邪気に笑った。違う、ほんとは、桜の花びらなんて付いてなかった。自分のポケットから咄嗟に取り出したものだ。

「ありがとう、ネズミ」

紅い瞳を柔らかく和ませて、真面目に礼を言われて、たじろいだ。
曇りないその目をまっすぐ見ていられなくて、ああ、とか、うん、とか適当に相づちを打って教室を出た。

どこ行くの、もう授業始まるよ、と慌てた声が追いかけてきたが、耳をふさいで屋上にかけあがった。なのに、お気に入りの場所に寝転がって空を見上げたら、その日に限ってふわふわの綿雲ばかりが浮かんでいた。そんな雲を見ていると、そいつを思い出してしょうがないから、目を閉じた。

触ってみた白い髪は、思っていたよりさらさらしていた。
想像してた感触とは違っていたけれど、今まで触ったどんな女の髪よりも柔らかかった。

次はもっと、あいつの髪がくしゃくしゃになるまで、かき混ぜてみたい。ああ、それから、あの白い睫毛にも触れてみたい。そっと、軽く、やさしく。そしたらきっとあいつは、くすぐったい、とか的はずれなことを言って笑うんだろう。あいつが笑ったら、ささやかな仕返しに、その唇を引っ張ってみよう。ちょっと荒れてカサカサしてる唇を指でなぞったら、さすがにあいつでも黙るはずだ。そしたら、頬から首に這う紅い痕をなぞりながら口付けてやる。そしたら、そしたら…

あわてて飛び起きる。みっともなく動揺する。

…そんなつもりはなかった。

自分の下半身を見下ろして、あまりの情けなさに悲しくなって、久しぶりにため息がもれた。



どの医者にかかったらいいですか


ガーコさんに捧げます(勝手に押し付ける)
最後のオチが情けなさすぎて、むしろ私がため息つきたい…ていうか泣きたい。
こんなんでごめんね、けど貴女の絵(厚塗り挑戦の紫苑さん)を見て思い浮かんだのがこれなの!だから責任取って受け取って…ね?ね!(おい

タイトルは、macleさまよりお借りしました。



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