仕草までお揃い
11/7〜3/12までの拍手お礼文、君の世界番外8、続イヴ転入編(ネズミとイヴは双子)
「ねぇねぇ、イヴさん」 「イヴさん、シャンプーのメーカー教えて?」 「彼氏はいるの?イヴさん」 「イヴさんって、ネズミくんとは双子なの?」 「とってもそっくり!」 「羨ましいなあ、イヴさんもネズミくんも綺麗で」
…瞬く間にイヴは人気者になり、学園中の話題をひっさらう注目の的となっていた。 そして、その触れ込みはこともあろうに『ネズミの双子の姉、転校生で美少女なイヴさん』だった。
仕草までお揃い
「…ところで、イヴ…さん」 「何でしょう、紫苑せんせ。ていうか、どうして名前と敬称の間で時間取るの?」 「あ、いや、…イヴくんと呼ぼうかどうしようかと」 「今さら躊躇うなんて、ははっ、おそいよ紫苑せんせ」
どうやらイヴは、対して気を張らなくても上手く女子のなかに溶け込めるらしかった。 クラスメイトとの会話もそつなくこなしている。 だからといって、イヴを女の子とみなしてよいものか。 本当はれっきとした男子なのだ。
「で?おれに何の話?」 「ああ…うん、体育祭があるんだけど、そのチーム分けで…」 「ふぅん。いいよ、おれ、男子チームでプレイしても」
それはそれで問題あるような。 学校全体の認識としては、イヴは女の子なのだから。 運動部の女子が助っ人として男子チームに加わることもなくはないが、ごく稀である。 イヴが男子チームに入れば、男子たちは色めき立ち、試合が試合でなくなってしまうだろう。
「簡単なことじゃん、イヴは見学すりゃいいんだよ」
悩む紫苑の様子を面白そうに眺めながら、横合いからネズミが口を出す。
「だいたい、イヴが女装なんかして騙すのが悪い」 「似合っちゃうんだから、仕方ないだろ。でも見学なんかいやだ。つまんない。ネズミばっかりずるい」 「おれのどこが、ずるいんだよ。まっとうに生きてんだろ」 「どこがだよ。ネズミに想いを寄せる男どもから、おれはずいぶん告白されたんだけど」 「なにそれ、イヴだって男じゃん」 「だから、おれを女の子だと思ってんでしょ。ネズミ相手には叶わない恋の代わりにしようってわけ。もうほんと迷惑。おれだって男なのに」 「女子だと思われてんのは自業自得だろ」 「むさい男なんぞに告白されんのやだ」
顔を鉢合わせたとたんに楽しげに喧嘩しだす双子に、紫苑はまあまあと声をかけて遮る。
「本題がずれてるって、二人とも…」 「ずれてない!」 「ずれてない!」
こんな時は、二人の抗議の声は綺麗にハモる。 だが肝心の意見に関しては、対立したままだった。
だから、イヴは見学でいいんだよ
やだ、なんでおれだけ蚊帳の外
もともと飛び入りじゃん
おれも男子チームで活躍するもん
まあまあ、二人とも落ち着いて…じゃあしょうがないからイヴは男子チームで…
ありがと紫苑せんせ!
えっ、ちょ、紫苑待てよ、イヴの肩持つわけ?ねぇ
いや、ネズミ、ちが…
ははっ、ネズミ、うかうかしてっと、おれ、紫苑せんせ食っちゃうよ?
…紫苑、ひどい
え、あ、そうじゃなくて…!生物学的にイヴくんは男の子なんだし、考えてみたら…てか、考えるまでもなく男子チームで参戦すべき、だから、その
…ふぅん。じゃっ、そういうことにしといてあげる
ちょ、ネズミ?あ、待ってよ、ちょっと!
(つづく) ちょっと拗ねたネズミくんは、さっさと帰ってしまいました。 慌てた紫苑先生は追いかけていきました。 残されたイヴくんはとても面白そうに笑ってました。
…そんな構図です(笑) あらら、イヴさまは学園中のみならず、紫ネズまでからかってますね。 あれ?予定とちがry…ごふんごふん。
← | →
←novel
←top |
|