勘違いから始まり始まり
10/28〜11/7までの拍手お礼文、君の世界番外7、イヴ転入編
「イヴです、こんにちは。そこにいるネズミはふつつかな弟で、皆さまにご迷惑おかけしているようで本当に申し訳ありません。私は両親と共にアメリカで暮らしていますが、今は一時的に帰国しています。短い間かと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」
さらさらと立て板に水に流暢な日本語を並べ立て、『短期交換留学生』という肩書きを勝ち取ったイヴは、優雅に一礼した。
勘違いから始まり始まり
なにが、『ふつつかな弟』だ。 女子のブレザーを違和感なく着こなす兄に言われたくない。 だいたい、おれがいつどこでクラスメイトに迷惑をかけたよ。 ま、ぼっこぼこに殴ったやつなら何人もいるが、それは喧嘩だからしょうがない。 ちょっと前までは不良を名乗っていたおれも、最近は随分まるくなったんだぜ。
ネズミは仏頂面でそんなことを思いながら、教壇に立つイヴを見ないですむように窓の外に視線を向けていた。 短いスカートをはき、美しい生足をさらしている兄を凝視できるほど、ネズミの神経は太くない。 だが、クラスの大半の生徒は惚れ惚れとイヴの姿に見惚れていた。 担任である紫苑も、いささか戸惑っているようだ。 きっとその心中は、イヴを男子生徒として扱うべきか否かで葛藤しているのだろう。
「…えぇと、じゃあ、イヴ…さん。席はあそこに座ってください」
あーあ。紫苑、まずったな。 あんたのせいで、ここにいる全員が誤解したぞ。 あんたはイヴの格好に構わず、イヴ君と言うべきだったんだ。
はぁ、とネズミは嘆息し、机に突っ伏す。 …波乱の予感がした。
ネズミ、なに寝てんの、お行儀の悪い
…なんで隣にイヴがいんだよ
紫苑せんせに言われた席だけど?
うわ、最悪
なんだって?もっぺん言ってみな
イヴ兄さんが隣で嬉しいな
ネズミ?お姉さまに向かって、何言っちゃってんの
(つづく) わわわ、更新が1ヶ月以上開いてしまってすみませーん…!! これからイヴ兄が学園をかき回します。そしてネズミと紫苑は振り回されます。たぶん(笑)
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