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!)設定
・現代、音楽大学生パラレル
・紫苑、沙布→ピアノ専攻
・イヌカシ→邦楽囃子、三味線専攻
・ネズミ→日本舞踊




「飲み物、もう残ってないね?残さないでよー」
「二次会、行く人ー!」

今日は学祭の打ち上げ、いくつかの学科合同で飲みに来ていた。一次会が終わり、わらわらと皆立ち上がり帰り支度をするなかで、紫苑は立ち上がれないでいた。それにイヌカシが気付いて振り返る。

「紫苑?どうした、二次会行かないのか」
「うん、行かない」
「そ。じゃっ、帰ろうぜ」
「それが…この人、起きなくて」

お人形のように綺麗な人が、紫苑の肩に頭を乗っけて、すうすうと寝息をたてていた。


2013 96
誕生日まで、あと1日


「ああ?そんなもん叩き起こせよ」

何故か機嫌を急降下させたイヌカシは、鼻に皺をよせて言うやいなや、綺麗な人の絹糸のような髪を引っ張った。

「ちょ、イヌカシ!駄目だよ、女の子の髪を引っ張るなんて」
「女ぁ?」

一瞬、イヌカシは目を真ん丸に見開いた。皿のよう、という表現がぴったりなくらいに。そのまま数秒間瞬きもせず紫苑の顔を見つめ、いきなりけけけっと笑いだす。

「な、なんだよイヌカシ」
「ははっ、何でもない何でもない!それより紫苑、こいつ熟睡してるわ。ちっとも起きやしねえ。介抱はおまえさんに頼んだ。じゃあな!」

今度は急に上機嫌になったイヌカシは、眠っている綺麗な人を紫苑に押し付けると、風の早さで店を出ていった。まったく、何を考えているんだか。機嫌がころころ変わり、それに伴う行動もくるくる目まぐるしい。それがイヌカシの愛すべきキャラであるのだが、他人の心の機微にいささか疎いところのある紫苑には理解しがたいことではあった。

「えっ、イヌカシ!た…助けてよ…」

救いを求める、消え入るような声がイヌカシに届くはずもなかった。
その後、座敷の片付けに来た酒屋の店員さんと協力し、紫苑はやっとのことで綺麗な人をタクシーに乗せた。
運転手に行き先を尋ねられ、少々逡巡したが結局自分の下宿先を告げ、一緒のタクシーに乗り込んだ。



だって、顔も名前も知らないんだもの、住所だって知るわけない…不可抗力だよ、これは




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