カミングアウト


※原作沿い

「…なんでぼくは、ぼうやって言われるんだろう」
「あんた、まだ言ってんの。意外と根に持つタイプだったんだな」
「いや、そういうわけじゃなくて」

白湯を両手で大事そうに抱え持ち、紫苑はそのカップの中に何か重大なものが隠されているかのように凝視している。

その姿を見るともなしに見ながら、ネズミは白湯をすすった。

「ねえ、ネズミ。人生経験の違いって、なに」
「は?」
「ぼくときみとで、そんなに違うかな」
「そりゃ、違うだろ。おれは何度も死地を潜り抜けてきた」
「でもきみはまだ、寄生バチに殺されかけたことは、ない」
「エリート校に通ったことも、ないな」
「…やっぱり、きみ」

紫苑が何かを言いかけた時だった。
すっとネズミの手が伸び、紫苑の髪に触れる。その柔らかな手触りを楽しむように白髪かきまぜ、そっと頬の痣をなぞる。

「おれ、黙ってたけど」
「ネズ…」
「実はあんたの方が年上なんだ」
「…え?」

ふふっ、とネズミは密やかな笑い声を唇からもらし、そっと紫苑にキスをした。


fin.
2011.10.30

ネタ元はガーコさま!
紫苑より1歳か2歳くらい微妙に年下だったら萌えないか!って話だった^^
僅かな歳の差って萌え…!
いつもいつも萌えをたくさん供給してくれて、本当にありがとう!!


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