＊この色で記した言葉遊びは、巣さまよりお借りしました＊ ---------- 目覚めればそこは… 殺風景な草原。 頭上には一面に広がる青空。 そして、目の前には風変わりな吟遊詩人が一人。 『ここはどこ？』 思わず尋ねていた。 吟遊詩人は竪琴を爪弾き、吟うように答える。 『どこなのでしょう』 この不思議な風景、この不思議な人。 私はさっきまで、友人と賑やかな街にいたのに。 これは…どうしたことだろう。 これが、いわゆる白昼夢？ 疑問は口をついてでる。 『これは夢？』 彼はこともなげに答える。 美しい竪琴の音と共に。 『いかにも』 頭が割れそうに痛い。 草原に仰向けになって空を見上げる。 吟遊詩人は隣に座ったまま、竪琴を奏で続けている。 私は、唐突にこの飄々とした吟遊詩人をからかってみたくなった。 謎かけのように問いかける。 『あなたはだれ？』 『わたしは詩人』 『わたしはだれ？』 『あなたも詩人』 そこまで答えると、彼は旋律に乗せて詠い出した。 『あなたと わたしは 詩人として あちらと こちらを 往き来して ゆめと うつつを つなぐ鍵』 私も詩人、ですって？ この人、何を言ってるのかしら。 世の中の人をみんな詩人とでも思っているのかしら？ 私が眉をひそめていると、吟遊詩人は穏やかに微笑んだ。 彼が今までとはちがうメロディーを弾き出すと、私の意識はふっと遠のいていった。 再び意識が戻ると、やっぱりそこは友人たちと一緒だった街中だった。 しかし、辺りを見回しても友人たちは見当たらない。 携帯電話を取り出すと、着信履歴が６件。 急いでかけなおすと、ワンコールで友人は出た。 「ちょっと！どこに行ってたの!?すっごく探したのよ、あなたったら突然いなくなるんだから！で、今どこなの!?」 「ごめんなさい、なんだか頭が痛くって」 手短に現在位置を伝えると、今すぐそっちに行くから動かずに待ってなさい、と言われる。 ありがとうと言って電話を切ると、私はその場に座り込んだ。 頭が割れるように痛んでいた。 再びその吟遊詩人に遭遇したのは、自宅で暇をもてあましていた時だった。 突然、あの吟遊詩人が目の前に現れた。いや、違う、私の方が彼の彼の前に現れたの？ またもや、知らない風景の中にいた。 『いつもここにいるの？』 『いいえ？』 『じゃあ、いついるの？』 『気の向くままに』 『もう一度、ここに来れる？』 『それは、あなた次第』 『また、会えるかしら？』 『それも、あなた次第』 ねぇそれはどういうこと？ ここは現実の世界なの、それとも夢の世界？ それから三日後。 二度ある事は三度ある…私は吟遊詩人に会った。 私はいつものように問いを繰り返す。 『ここはどこ？』 『前と同じところ』 『これは夢？』 『さあ、どうでしょう』 『言ってる事が違うわ』 『そうでしたか？』 『はぐらかさないで、』 だってあなたに初めて会った時、あなたは夢だと言い切ったでしょう。いかにも、と。 吟遊詩人は謡う。 『わたしは 昔を 語らない わたしは 今を 語ります 昔と 今が 変わったら わたしの 言葉も 変わるでしょう』 私は問いかけを続ける。 『なんでここに来れたの？』 『あなたが、詩人だから』 『詩人って、なに』 『では、ためしに ことば遊びを しましょうか それができたら あなたは立派な 吟遊詩人』 ルールは簡単です、と吟遊詩人は言う。 お菓子っぽい言葉でしりとり遊びをしましょう、と。 『それでは、始めますよ。 では、わたしから始めてよろしいですか？』 『めろめろキャンディ』 『一万個のダイヤでさえ、君がくれたチョコレートには敵わないよ』 『ヨーグルトに七色ジャムを乗せてみた』 『立ち尽くしたら溶けてしまう』 『ウエハースから宇宙に飛び出せ』 『セピアにプリンを召し上がれ』 『レディは甘さが特権なの』 『ノンシュガー・ミントガム』 『紫芋はモンブランになりたかったのです』 『スイート・パラダイスは皆さんと共に』 『それではこの辺りで、一旦切りましょうか？』 そう言って吟遊詩人は最後にポロンと竪琴をかき鳴らした。 『虹色ばあむくうへん』 ではご褒美をあなたに。 角砂糖を差し上げましょう。 とっても甘い、特別な角砂糖です。 砂糖欠乏症 -----あとがき----- 話が微妙にねじれてしまった気がします(笑)すみませんww 吟遊詩人って大好きです。 ショパンのバラード３番の途中に少しだけ、『吟遊詩人のフレーズ』ってのがあるんですけど、すっごく好きでした( ´∀`) 一応、荻原規子さん著作「西の善き魔女」の二次創作のつもりです…けど、出てくるのは吟遊詩人だけです(^^; この話の主人公はもちろんフィリエルじゃありません、夢小説の主人公みたいなものです…多分。 この色の文字で記した、お菓子っぽい言葉でしりとりの言葉遊びは、巣さまにつくっていただきました！つまりオーダーメイドですね…！＼(^o^)／ ありがとうございましたーっ＼(^o^)／ |
