(※映画ネタバレあり)

サトシ達と別れ、ポケモン博士を目指しているソウジと旅をすること早1ヶ月、伝説のポケモンである、フリーザが空を飛んでいる姿をソウジは見たときに興奮して私の肩を揺さぶった記憶はまだ新しい。そして、ポケモンセンターで休んで一段落していたら嬉しそうにソウジは私たちの元へやってきた。

「ジョーイさんから聞いたんだけど、この近くでファイヤーが現れたんだって。今から、ファイヤーが現れた場所へ今から向かおう!」
「えぇ…っ。さっきポケモンセンターに着いたばっかりだよ。少しぐらい休ませて。ねっ。プラスル?」
「プラ…」

ソファに座っている私の横でくてっ。と疲れ果てているプラスルを見れば、少し休憩も必要だと思えてくる。しかも、前のポケモンセンターから今いるポケモンセンターまで結構な距離があり、私の足もクタクタになっている。それなのに、ソウジはまだ歩くつもりでいるのか。男の子の元気にはついていけない…。

「分かった」
「えっ」

私の心を察したのか、ソウジは溜息を吐いた後私に背を向け歩き始めた。私は急いでソウジの腕を掴んだが、簡単に振りほどかれる。

「名前はここで休憩していろ。僕、一人で見に行ってくる。行くぞ、ルカリオ」
「…っ」

ルカリオは私とソウジを交互に見た後、黙ってソウジについて行く。ソウジとルカリオが私からどんどん離れていくのを見て、私は小声で「バカ」と呟いた。

「遅いなぁ…」
「プラ…」

ソウジとルカリオが出て行ってから、もう一時間以上は経っている。ジョーイさんに聞けば、この近くでファイヤーは現れたらしい。だから、もうポケモンセンターへ戻ってきてもいいはずなのだが。私はソファから立ち上がり、「行くよ。プラスル」と言いポケモンセンターから出れば、外は土砂降りだった。私は背負っていたリュックを頭の上に持ち上げて、ジョーイさんに聞いたファイヤーの出現場所へ行けば、近くにある洞窟にソウジとルカリオの姿があった。

「はぁっはぁっ」
「名前…」
「やっと、見つけた」
「ごめん。やっぱり僕はポケモン学者には向いていないのかな…」
「なんで、そんなこと言うの…」
「だって、ファイヤーには会えないしこんな天気にも気づけない。そして、名前にも心配かけた」
「馬鹿っ!?なんで、そんなこと言うの!?」

私はソウジに駆け寄り抱きしめれば、自然と涙があふれてきて流れ出す。

「なんで、そんな簡単に夢をあきらめようとするの。私はずっと、夢を追い求めるソウジ見てて、かっこいいって思ってたんだよ。夢がない私にとってソウジは私の憧れでもあるんだよ」
「えっ」
「だから、そん…なっ簡単にゆ…めっ。ひぐっ、諦めないでよ」
「あぁ。悪かった」


私はぐずぐずと泣きながらも、抱きしめている腕をほどいてソウジを見れば「汚い顔だな」と笑われ、指で出ている涙を拭われ唇にキスをされる。

「んっ!?」
「っ。なぁ、苗字僕は夢を諦めない。だから、苗字は僕がポケモン学者になったら、その僕と結婚してくれ」
「〜っ!」

突然の告白に私は驚きながらも顔を縦に振ってOKした。私も今日から一つ夢が出来た。それは、ソウジのお嫁さんになることである。明日から、ソウジより料理上達しなくちゃ。と思いながら、プラスルを抱きかかえて私は瞳を閉じた。




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