ばか馬っ鹿! | ナノ


莫迦になる

扱き合い/R18
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 デカイ家の割に、結構こぢんまりとした基樹の部屋。
 その部屋で高校男児が三人。膝を突き合わせ、神妙な顔をして座っているのは何とも妙な光景に違いない。
「……それでは」
 千佳が重々しく口を開いた。隣で基樹も真面目な顔でこちらを見ている。
「……『リュウをエッチに慣らしていこう作戦』を始めようと思います……!」




「あ、う、うん……よろしく、です?」
 うわぁ、何だこれ。色々と突っ込みどころがあるのに、重々しすぎて下手に口出せねぇ……!
「……リュウ今引いたでしょ」
「え?!え、いや、そんなっ!ちょっとネーミングセンスがあれかなぁ……とか思ったけど、大丈夫!」
「ほら言っただろう、千佳」
「う……だって他に何てつければいいのさ!」
「……いや別に名前つけなくていんじゃない……なんて、いやいやいややっぱあった方が良いよね、作戦名!いやぁ良いと思うよ俺をエッチに慣らしていこう作戦!何を目的にしてるのか一目瞭然だもんね!」
 指摘されて、くっと下唇を噛みしめた千佳を見て、慌ててフォローを入れる。
「え、えっとー……エッチに慣らしていくって事は、今日はエッチはしないって事なのかな?」
 わしわしと千佳の頭を撫でながら基樹を仰ぎ見ると、ふっと頬を緩めた笑いを向けられた。
 ……何その、困った子だなぁみたいな笑い方。
「本番はしない」
「本番『は』?え……じゃ、じゃあ何するのかなぁ……」
「……触り合いっこ」
挙動不審になりながら疑問を上げれば、撫でられていた千佳がもごもごと答えた。
「触り……合いっこ」
 ぼんやりと呟く。
 え、それって普通に手ぇ触ったり背中撫でたりとかじゃないね。うん分かってる。
「……え、っとー……じゃあ、俺、脱いだりした方が良いの、かな?」
 おずおずと尋ねれば、ばっ!と音がしそうなくらいの勢いで、千佳と基樹が俺を見た。
「良いの!?」
「良いのか!?」
「え、ダメなの?」
 物凄い形相の二人に思わずたじたじになる。
 何なんだよ。そういう事じゃないとか?え、本当にただ触れるスキンシップ的な物をするつもりだった?うわ、それだったら俺なんかすげぇシたいみたいな感じになるじゃんか。いやシたい訳じゃない……っていうと何か違うけど、そういうのじゃなくてだな、というかそもそもスキンシップなら日常茶飯事やってるから今更――。
「触るんだよ?何触るか分かってる?オレらのアレだよ?オレや基樹もリュウのアレを揉んで扱いて擦るんだよ?」
「いやそんなリアルに言わなくても……」
「気持ち悪くないのか?」
「い、いや、さほど?むしろお前らは気持ち悪くないのかよ」
「「そんな訳が無い」」
「……ああさよですか」
 むしろ触りたくて仕方が無いと言う基樹の顔はマジだ。
 ……おおう、そんな立派な物では無いのだが。いや、立派云々で触りたいんじゃなくて、俺のだから……なのか。なんだろう、な。
 そこまで考えて、ふとこいつらの息子をちゃんと拝んだ事が無かったなと気付いた。
 修学旅行とかで温泉に入った時、男どものあのノリでやれデカイだのなんだのと見た記憶はあるが、そんなはっきりと覚えてはいない。
 それも、同じクラスになったのは中二の時のみで、それから三人揃って同じクラスになった事が無いから、修学旅行があっても風呂の時間帯が別だったりして。よくよく考えれば千佳のは中三の時、基樹は高一の時以来見てない気がする。
AVを一緒に見た時だって、代わる代わるトイレに駆け込むだけで、その場でシたりはしなかったし。
 基樹の方がデカかった気が……まぁガタイ的に考えてもそうだろうが。
 何だか興味が湧いて来て、思わず正座をしている基樹の股間に手を伸ばして撫でてみた。
「隆二!?」
「あ、いや、お前のどんなんだったかなぁ……と思って」
 ぎょっと顔を強張らせた基樹に、流石に露骨だったかと詫びて離れようとしたが、手首を掴まれて引き止められる。
「……いや、良い」
 何だか怖いくらいの眼差しを俺に向け、基樹はそのままチャックに手を掛け下にゆっくりと下ろした。
 ……ゆっくりと下ろされるチャックというのはどうしてこうもエロいのか。
 自分から切っ掛けを作ったというのに、ジジ……ッという音が気恥ずかしくて目が泳ぐのが分かった。
 前が開き、黒のボクサーパンツが覗く――……お、おいおいおい基樹’sジュニアよ。何でおま、テント張ってんだ……!
 長く、節のある指がスリットから息子を取り出した。
 既に勃っているために、ぶるっと勢い良く出て来たそれに思わず息を呑んでしまう。
 ……お、おう。ご立派なご子息殿で……。ハジメマシテ?お久しぶりです?いやぁ……大きくなったねぇ……。
 明らかにデカい。いや、勃っているというのもあるかもしれないが、とりあえず記憶にある基樹のモノよりも格段にデカい。……はっ、待てよ。これが俺のナカに入るんだよな?
 いやいやいやおかしいだろ無理だって。切れる。裂ける。むしろ裂けても入らねぇよ……!!
 自分のケツの穴の運命に真っ青になる。ケツの穴は血の大惨事で真っ赤になるって?うるせーよ。
「リュウ……オレのも見て……」
 横に影が差し、甘えた様な熱っぽい声音が上から降ってきた。
 見てって何なの千佳ちゃん。そういう嗜好の持ち主だったんですか、アナタ。
 基樹のデカさというよりも、その大きさの物を受け入れなければいけない事実にショックを受けながら千佳の方に顔を向けた。

 向けて思わず両手を上げた。

 ――は?
 座っている状態の俺に、千佳が立ち上がっているので目の高さに突き付けられている形なのだが、いやもう、え??
「な、何それ、デカ!!」
 目の前でガチガチになっている千佳の息子。
 ズボンを膝まで下げ、パンツも少しずり下げられていた。
 まだ何もしていないというのに、千佳ははぁはぁと息を荒げて片手でソレを支え、もう片手で自分を煽る様に薄い腹を撫で回している。
 その白い肌に対して何なのその赤黒くてデカイぶつは!!
 基樹のよりも更に一回りか二回りは大きいし、皮はズル剥けだし、可愛い顔に似合わなさすぎるこんなモノを股間にぶら下げていたのかこの子は。
 おまけに何か既に先端濡れてませんか。気の所為かな。
 そんなのが目の前にあった訳で。
 思い切り大声で『Hold up!!!』と言われた気分を味わった。
「ぁ、リュウがオレのチンコ見てる……。んぁっ、あぁ、もうイっちゃいそぉ……」
「へぁ!?」
 それにしても、こんなAV男優も真っ青とはこの事、と言わんばかりのご立派なモノを持ちながら、千佳は突っ込まれたい側なんだよなぁ……。何だか勿体ない……いや、勿体ない言っても俺絶対コレ突っ込まれて無事でいられる気がしないけどさ。なんて思いながら、まじまじとみていたら、うっとりと千佳がとんでもない事をさらっと言った。
「ええええ千佳ちゃん落ち着け!何もしてないよ俺!」
 つかこの距離でイったら顔射じゃん!
 精子目に入るとむっちゃ痛いって聞いた事あるんだけど、大丈夫かな俺、あ、眼鏡があるから大丈夫か?じゃねぇよ!!
「千佳、隆二の視線に興奮するなら落ち着くまで後ろ向いてろ」
「はぁぅ……分かったぁ……」
 基樹の言葉に千佳は頷くと、くるりと背を向け座り込んだ。大きく呼吸をする度に肩が上下している。
 お、俺の視線で興奮……視姦か、視姦してた側だったのか俺。
「隆二も余り見てやるな」
「俺!?俺が悪かったの!?」
 基樹の若干諌める様な声音に驚いて抗議をするが、さらっと流される。
「じゃあ……隆二も……脱げるか?」
「お、おーう……」
 だからお前視線が怖いっての……。
 たじたじとなりながらベルトのバックルに手を掛ける。
 すると千佳が後ろを向きながら切なそうに声を上げた。
「ええ、ズルイ!!オレもリュウの見たいよぉ……!」
「え、いや、見たいっておま……」
「ダメだ」
「何でぇ!?」
「見たらお前興奮してイくだろう」
「イっちゃうの!?」
「うう……でも見たいぃ」
 千佳はズボンを膝まで下ろして背中を向けているという、何とも情けない恰好を晒しながら身体を揺すって抗議をする。それを見て基樹が深く溜息を吐いた。
「……我慢できるか?」
「うん!するからぁ!」
「じゃあ良いぞ」
「い、良いぞっておかしいよね。見られるの俺なんだけど何故に俺の意見は」
「ありがとー!!」
「ねぇせめて最後まで言わせてくんないかな!」
 がばっと音がしそうな勢いで千佳が振り返り、ぎらぎらとした目線が俺の股間に注がれる。おいこの状況で脱げってか。
「……」
「……」
 でもまるで待てをされた犬の様にただ静かに、でも欲しがっているのがひしひしと伝わって来て、後には戻れず俺は恐る恐る自分のズボンに手を掛けた。
 そのままパンツのゴムにも手を掛けると膝を立ててズボンと一緒にずり下そうとする。……はい誰ですか今物凄い音で唾を飲みこんだの。
 二人とも口に出して急かさないが、もう本当に餓えてますみたいな感じに急かされて、思い切って勢い良く下までずり下げた。
 はいイケメンにご挨拶ー……なんつって。
 外に出て来た息子は残念ながら勃っていなくて、隣ではこんなガチガチになっているのにと、何だか微妙に申し訳なくなってくる。
 だ、だって興奮というより緊張してるからさ……。
「ひぁっ!」
 そんな息子に千佳がいきなり触れて来て、思わず変な声が飛び出す。
「ちち千佳ちゃん」
「まだ柔らかい」
「うや、まぁ、そうだけど……」
「……じゃあ、気持ち良くしてあげる」
 一体どこの風俗店のお姉ちゃんだというような台詞を口にし、千佳が俺の息子を扱き出す。
 彼女いない歴=年齢……つまりええそうですよ、童貞だよ。だから他人の手から与えられる快楽なんて初めてで、抗う間もなくその痺れる甘さの虜になる。
「はっ、んっやば……千佳ちゃ……」
「千佳、触るだけだぞ」
「分かってるー」
 触るだけって何、他になんかあるっけ……ああ頭まわんね……。
 千佳が時折上目使いで俺の表情を確認するのだが、その顔がヤバい。
 すごくこちらを気にして気持ち良くさせようとしているのだが、自分も気持ち良くなりたくて堪らないという切なそうな顔。――エロすぎるでしょ……。
 AVなんかめじゃない。そこに本物の肉体があるというだけでこんなに違うのだろうか。
 いや……そうじゃなくて……。
「隆二」
「んぁっ、ん……っ?」
 低く囁かれて首を捩じれば、基樹に手を取られ、そして猛るあそこに導かれた。
「出来るなら……俺のをやってくれないか」
 手の平から伝わる湿った熱は熱すぎて、こんな状態だとキツイのは同じ男だから凄く分かる。
 嫌悪感は何故かやはり無くて、俺はその熱に指を絡めると上下に扱き始めた。
 途端に熱っぽい吐息が基樹の口から洩れる。千佳から与えられる快楽に潤む目で見上げて、思わず心臓が跳ねあがった。
 ああお前、なんて顔してんだよ……。
 快楽に顰められた眉、軽く食いしばられた歯、雄の匂いを漂わせる男前にくらくらする。
 誘われるようにその顎の先にちゅっと唇を落とせば、目を見開き、俺の手の中にある熱を更に膨張させた。
 ふと、基樹を扱いているのとは逆の手にすり寄せられる熱。
 顔をそちらに向ければ、切なそうな目で千佳が俺を見ていた。
「……っふ」
 小さく噴き出して、その綺麗な唇に口付ける。
 ふにっと柔らかい感覚に目を細めれば、少し開いていた隙間に強引に舌がねじ込まれてきた。
 びっくりして目を見開くが、千佳の顔を見て抗う気が途端に失せる。
 切なそうに眉を寄せ、どこか必死で、泣きそうで、怯えていた。
 ――んながっつかなくても俺はどこにも行かないし、逃げないし、避けもしないのに。
 可愛いったってイケメンなんだからんな顔すんなよ、と内心苦笑しながら開いている手で優しく頭を撫で、咥内にねじ込まれた舌に舌を絡めて応じる。
 ぴたりと一瞬だけ舌の動きが止まったが、直ぐに再開された。さっきよりも遠慮が無くなった動きになっている。
 頭を撫でていた手をゆっくり下すと、ガチガチになっていた千佳の性器にそっと触れた。
「あっ!リュウ!?」
「んー……いや、俺やってもらってるし、千佳ちゃん限界そうだし、片手で良ければと思って」
「でででもその、気持ち悪くない……?」
「ふはっ、もう基樹のを触ってるっての」
 気持ち悪くないよと口にすれば目尻を赤く染め、嬉しそうな恥ずかしそうな表情を浮かべる千佳。
 それがあんまりにも可愛くて、キューンという効果音が聴こえたのは俺だけか。
「じゃあ、じゃあ触って……俺にも触って?」
「ん」
 千佳のモノに指を絡ませ上下に扱く。
 その間も俺のモノも千佳に扱かれている訳で、腰が揺れる。
 千佳が俺の肩に顔を埋め喘ぎ声を上げるのを聞いて、中心が硬くなるのが分かった。
 茶色の髪に唇を落とすと、顎を掴まれ逆の方向を向かされる。
「んぁ?っん、む……」
 次は基樹に唇を塞がれ、咥内を探られた。
 あっちからこっちへと、まるで雛に口移しで餌を与える鳥の親にでもなったようだ。
「んっんぁ……ぅっ、はぁ……っ」
「リュウ、リュウ……っきもちぃ……」
「……っ、……くっ」
 ああもう何なんだこの空間。
 異様であるのは十分分かる。なのになんで……なんでこんな興奮すんだこのやろう。
 俺にキスをしてくる基樹の唇や、えらく熱の籠った眼差しが気持ち良い。縋りつく様に腕を回しながら、腰を振って俺の手にペニスを擦り付けて快楽を得ている千佳が可愛い。
 二人とも愛おしくてならない。
 ――ああ、もうどうしようも無い所まで絆されてんな。
 快楽に滲む思考の中でそんな事を思った。
 ぬちぬちと濡れた様な擦れるような音と、荒い息。俺と千佳の喘ぎと、基樹の漏らすような呻き声のみの中、確実に三人とも絶頂に向けて駆け足で登っていていた。
「はっ、あっあっ、もぉイく。イっちゃう、オレぇ……!」
 一番先に泣き声じみた弱音を上げたのは千佳。
 最初っからぎりぎりだったし、むしろあの状態から良く耐えたと思う。
 手の中でびくびくと脈打ちながら限界を訴えるそこを、どうすれば良いかと一瞬手を止める。すると基樹が耳元に唇を寄せ、同時に基樹の手が胸を這って、くにりと乳首を押し潰した。
「んぁっ!ちょ、お前どこ……っそ、そんなとこ触ったってなんも……っ」
「ほら、千佳のもっと強くしてやんないと可哀そうだ」
 そう言われて慌てて千佳のモノを扱く手を強めるが、基樹の指は相変わらず乳首を弄り続けている。
 くにくにと押し潰され、指で弾かれる度になんだか変な快楽が走った。
止めさせようと口を開いた瞬間、腰を一瞬大きくびくつかせて俺の手の中に千佳が白濁を吐き出す。
 その時同時に俺のモノを強く握られ、その突然の刺激で腰を跳ねさせると俺も白濁を吐いた。基樹もそれに合わせたように欲望を解き放つ。
 基樹に乱暴に唇を奪われ、千佳に思い切り抱きしめられながらの絶頂は、頭が真っ白になる程気持ち良かった。




 代わる代わるシャワーを浴び、最後に俺が戻ってくると部屋は既に換気・清掃済みで、さっきまでの行為の片鱗もなかった。
 いや片鱗もというと語弊があるか。
 俺はタオルを腰に巻いた状態の半裸で濡れた髪を吹き、基樹もズボンは履いているけど半裸で、千佳は服を上下とも着ているが身体を強張らせて正座をしていた。
「何してんの千佳ちゃん?」
「りゅ、リュウは大丈夫かなって!」
「俺?何が?」
 小首を傾げてみせる。
「だ、だって男同士だよ。気持ち悪かったりとか、もうしたくないとか、色々あるんじゃ……!」
「無いです」
 千佳が言い終わる前にピシャリと言いのけた。
「言ったでしょ、気持ち悪くないよって。むしろ気持ち良かったよ、またシたいなー」
「ホント!?」
「本当か」
「ちょ、ちょっと二人で食いつかないでよ」
 身を乗り出した二人に背中を反らせて宥めると、苦笑しながら千佳に近づいて抱きしめた。
「人肌って温いのなぁ。俺、知らんかった。……俺、お前らとこうするの好きよ。気持ち良かったし、気持ち悪くなんてちっともなかったし、むしろお前ら格好良いわ可愛いわで点数上がりまくりだよホント。……またこうやって出来たら……嬉しい」
 喋ってるうちに後ろから基樹が抱きついて来て、俺は千佳と基樹の間で挟まれる形になった。
「隆二が良いなら、俺達は大歓迎だ」
「うん……うんっ、嬉しいよ……」
 耳元で低く囁かれ、腕の中では涙混じりで笑われる。

「ははっ、……あーもう、お前ら大好き」





- 終 - 



 

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