童子の夜 | ナノ


かちかち山

擬人化/M×S/若干露骨/R18
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「あははっ!こんな事されてんのに何おっ勃たせてんのさぁ……気持ち悪ぅ」
「い゛……っぐぅっ!」
 俺は目を細めて目の前で股間を踏まれ、身悶える茶色の天然パの男を見つめた。
 俺の事が好きと言ってきたこの馬鹿は、臆病なくせに何度も何度もしつこくアタックを繰り返して、何度足蹴にしてもおどおどと愛を囁いて、俺以外には本当に興味がなさそうな素振りをして、
「なのに何でババァとジジィと和んでんだ馬ぁ鹿」
 俺は艶然と笑みを浮かべて一瞬脚を上に上げ、そして狸の熱り立つペニスに思いきり振り落した。
 素足?ンな訳無いじゃん下駄。
「ひぎぃいいいいぃい!!!!」
 手を後ろで括られたまま狸が仰け反る。
 ペニスが足の下でビクつくのが分かったけど、汚い白濁を吐き出しては無い。だって根元でぎちぎちに縛られているから。
 ぐっと反らし、喉仏をくっきりと晒す色黒の喉に身を屈めて俺は噛みついた。
「ぐぇっ、えぐっ」
 痛みと苦しさに男が嘔吐く。喉仏は男の急所の一つだ。
 ああ、このまま噛み千切ってしまおうか。なーんて最大の急所を思いっきり踏んどいて今更なんだけどねぇ。
「あはっこのまま噛み千切っちゃおうか、この喉」

 俺だけ追いかけていたくせに。
 あの山は俺には居辛くて、俺は麓のこの村にやって来た。
 その山どころか、巣の付近しか行ったことが無いと言っていたこいつは、閉じ籠っていた山から俺の為に必死になって下りて来た。
 誰も友達がいなくて、人づきあいが苦手で。お前には俺しか無い。俺しかいないのに何その目に他の存在を映そうとしてるんだ。
 そんな目なんかいらない。抉り取ってやりたいくらいだ。
「え゙ゔっ、かふっ」
 何か言いたげに狸が口をパクパクと動かす。
 泡になった唾液がだらぁっと口の脇から垂れた。汚い。
「なぁにぃ?」
 喰い込ませていた歯を緩めて首から遠ざけてやる。刻まれた歯型には血が滲んでいた。ざまあみろ。
 狸は何度か咳き込んだ後、涙と涎で汚れた顔を俺に向けた。
 虚ろになりかけた目で俺を捕えると嬉しそうに綻ばせる。汚れた顔で。
「おれ、兎さん……になら、何されても、イあ゙あ゙あ゙ああぁああ!!!!!」
 ペニスを踏んでいた脚に力を加えた。
 あーあ、下の砂利と下駄に挟まれてイタそー。
「馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿、ばぁか」
 歌うようにそう言いながらがつがつと脚を振り下ろす。
 馬鹿な狸。こんな事されても俺が好きだなんて。むしろガチガチだし。男として考えられないわー。
 でも一番馬鹿なのは俺。そう言われて凄い嬉しくて、そして今から男としてもっと考えられない事をしようとしている。
「馬鹿狸」
 痛みと快楽で朦朧としている狸の顎をがっと掴んだ。
「は……ひ……」
「お前俺が好きなのぉ?」
「は、はい゙!」
「じゃあ俺しか見無い?」
 がくがくと言葉無く頷く狸の顎を強く握る。
「言葉で」
「見まぜん!!!」
「ふぅん」
 ゆっくりと顎から手を外すと笑みを浮かべた。
「その言葉……絶対破るなよ」
 耳元でどすをきかせて低く囁くいた後、その声色とは逆に優しく頬を撫でてやる。
 俺の態度に頭がついていけないのか、狸がぼんやりとしている間に奴の股の間に顔を埋め、今までいたぶっていたペニスを間近で見つめた。
 馬鹿のくせしてやけにデカいペニスは根本を縛られ赤黒く充血し、所々擦れて血が滲むという悲惨な状態にも関わらず、ガチガチに硬度を保ったまま、先端からは透明な粘液を滴らせている。
(……踏む角度とか考えてやったから、痛みほど傷ついてないか。)
 目で確認し終わると、その汚らしい物を口を大きく開けて咥内に入れてやった。
 青臭い匂いの中に鉄の味が混じり、その鉄の味が濃い部分は癒すかの様に優しく舐めてもやる。
「え!?ええ!?あぐっ!!え、な、ああ!!」
 喘ぐ狸は放っておいて、舐めながら自分のアナルを解す。
 男のモノを咥え慣れているそこはすんなりと柔らかくなった。
「んー……もういっかぁ」
 狸を押し倒すと、俺はだらだらと先端から涎を垂らす意地汚い奴のペニスを跨いで、腰を下ろした。
 ずちゅ……っと音を立ててアナルがそれを呑み込んでいく。
「なっ!?あひっ!!あぐぅう……!!」
 がくん!と背中を反らして呑み込まれる快楽に狸が全身を震わせた。
 呑み込んだ後、馴染むように腰を少し回すと直ぐに上下に振る。
「あ゙っ!あ゙っ!ああああああ!!!」
 俺の動きに合わせて狸は悶絶し、逞しい腰を病気みたいに跳ねさせた。
 過剰な反応に眉を顰めたが、ふとペニスを縛ったままだった事を思い出す。
「あーそっか。縛ったままだったねー。……はい、ほらイけば?」
「ひい゙い゙い゙い゙い゙!!!!」
 しゅるっと喰い込んでいた紐を解くと、狸のペニスが中で激しく痙攣したのが分かったが、達した気配がない。
 腰を振りながら首を傾げて狸を見下ろせば、腹筋がに思い切り力が入って、褐色の肌の下でひくひくと動いている。余りに力んでいるものだから、股間から腹部に掛けての血管が浮き出ていた。
「何?イかないの?」
「ぐぅっ!うっ!」
 耐える様に腰を僅かに上げてぶんぶんと顔を横に振る狸。
「ふぅん」
 ま、色んな雄に抱かれた奴ン中で達したくないってのも分かるけどねー……。
「じゃあ好きにすれば――」
「手っ!!」
「……何ぃ?」
 勝手にすれば良いと自棄な気分になった俺に狸が叫んだ。
「手っ、外っしで、ぐだざ……っ!!」
「手ぇ?ああ……」
 そういえば縛っていたなと、俺は側にあった小太刀で狸の腕を縛っていた縄を切った。切った途端――――抱きすくめられた。
「はぁ……!?」
「あ゙っだ、きしめて……イきたかった、からっ!」
 ぐううっと強く抱きしめられて結合が深くなる。
「んっ!ちょ、……っくそ、馬鹿みたいにデカ……」
「ああ、も、もう我慢……出来な……っ」
「は!?あ、あぁああ……!!!」
 あれだけ堰き止められていたから限界の近いのか、狸はがんがんと腰を振る。
 デカい身体全てを使って抑え込まれ、身動きが出来ない俺を突き殺すかのような動きについていくので必死だ。
「あっ、あっ、あっ、くっそ……!」
「あ、ああ……兎さ、ん……キレ、イ……可愛、いっ!」
 譫言のように俺の事を誉めて腰を打ちつける狸に俺はしがみ付いた。
「くそ、馬鹿だぬき……っつ!!」
「だい、すき――……っ!」
 その言葉と共にぐっと大きくなった狸のペニスは俺の最奥にどくどくと大量に射精し、俺はその感覚に身を震わせて達した。


 ハアハアと互いに荒い息の中、狸の腕は緩む気配が無い。
「熱い。離せ」
「兎、さん……」
 離せと言ったのに、馬鹿な狸はぎゅうっと更に力を込めた。
「好き、好きです……兎さん、俺――……」
「うっさい変態」
「綺麗で、可愛い兎さんが……」
「俺のどこが綺麗なのさ。目ぇ腐ってんじゃないの」
 抱きしめるこいつの方がよっぽど……綺麗だというのに。
「全部、綺麗だよ……」
 陶酔しながら甘く囁かれた言葉に、俺は歯噛みすると狸の顎に思いきり噛みついた。
「ぃだ!!!」
「俺以外を見たらその目刳り貫いてやる……!」
「……うん」
 目を刳り貫いてやると言っているのに、阿保な狸はへたっと間抜けな笑みを浮かべる。
 畜生、こいつには馬鹿すぎて言葉が通じないのか。

 でもどうしてその事が俺はこんなに……嬉しいんだ。
 あああ、きっと阿保は移るに違いない……。

 俺は溜息を吐いて、狸の腕に爪を立てた。




- 終 - 
2010.12.24


 

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