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言われた通り、新しい白い衣に着替えて来たアギアが俺の前に座った。
ちなみにご丁寧に自分で椅子を持って来てだ。

アギアの膝に乗せられたサランは嬉しそうにアギアの白い髪に手を絡め、アギアはそれを目を細めて見守っている。

俺はそんな仲睦まじい親子を観察していた。
それにしても、サランがコイツの子供だったとは。

…ん?

コイツは今22。サランは6。
てことは16で子供を作ったってことか。

はやっ!
…王族とか立場だと有り得なくはないのか?
血を残さず他界するよりは良いと捉えるべきなのか…。

まじまじとアギアの顔を見つめる

さらさらなのに乱雑に纏められている白い長髪も、不思議な赤紫の瞳も幼い頃のアギアと同じ。
なのに、どちらかというとひょろっとしていた身体は逞しくなり、背は俺よりも高くなっていた。
中性的だった顔付きも凛々しくなって、綺麗ではあるものの完全に男の面立ちだ。

サランもこうなるのだろうか。


「それはなんか嫌だな…」


子供はずっと小さくて可愛いままで良い。
高校生くらいになってみろ?あいつらのテンションの高さで突撃されたら折れるしかねぇんだよ…。


「父上、このひとが僕の新しいかか様なんですよね?ね?」


サランは嬉々としてアギアの顔を覗きこんで小首を傾げた。
流石に子供のサランでも王である自分の父がそうだと言ったら覆せない事がわかっているようだ。

慌ててサランの首を引っ掴むと、抱き寄せる。


「さっ、サラン。お茶が冷めたから料理長さんにお願いして持って来てくんねぇかな?!」

「待って、かか様。父上のお返事を聞いてから…」

「サラン!お願いだっ、今すぐ欲しいから…なっ?」

「……わかりました」


納得いかない様な顔をサランは浮かべたが、俺の必死のお願いにしぶしぶと頷いた。
ごめんなっ。でも子供って素直だから良い。
サランが扉の向こうに歩いていくのを見届けると、脱力して椅子の背に凭れる。


「よ、良かった…」

「なんだ、嫌なのか。アイツの母親になるのは」


いつもの笑顔を浮かべながらアギアは菓子を摘んで口に入れた。
その態度に溜息が出る。


「嫌とかそういう話じゃねぇだろうが。お前もアイツの父親ならそれくらい考えろ。
父親じゃなくて母親なんだぞ?俺なんかよりも適任な女性がいるだろう」

「ふむ…」

「だからぜってぇ母親だなんて言うんじゃねぇぞ。…それより何で大人になってんのか説明しろ」


あんな喘ぎ声聞かせやがってと睨むと、飄々とした顔で「元に戻ったからだ」と言うアギア。

こ、コイツ一発殴ってやろうか。



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