「お、おい、お前、魔法が掛ってて、実は20歳ですーなんてこたねぇよな?」

「…?ううん。僕は6歳」


か、神よ!!!
まじか!
ならこれは本物の子供が泣かずに!顔を引き攣らせずに!逃げようとせずに!俺の側にいるってことか!
やばっ、嬉しいなこれ!!!!


「お前俺が怖くねぇ?」

「なんで?どこが?かか様全然怖くないよ?」

「…っ」


い、生きてて良かったっ!!!
ジワリと瞼の裏が熱くなる。


「!!かか様!?、なんで泣くの?!」

「いやー嬉しいなぁと思ってさ」

「う、嬉しい?」

「俺の事怖いって泣く子供多いんだよ」

「怖くないよ!かか様は全然!!」

「うん、もう良いよ、それ以上言うな。涙腺が決壊する」


瞼を押さえて手を振る。『かか様』とか意味分かんないけど、今はどうでも良い。
ああやばい。嬉しい、これ。
口元や頬がだらしなく緩むのが分かった。


「かか様…かか様は僕の事好き?」

「へ?」


もじもじと子供が膝をすり合わせて俺の顔を窺った。
ば、ばっかじゃねぇの!コイツ!可愛すぎんだろ!
心得てやがるな…っ


「俺、お前の事全然しんねぇけど好きだよ」

「…!」


嬉しそうに子供が微笑んだ。
やーっば。撫でて良い?撫でて良い?

ぐりぐりと頭を撫でてやるとちょっぴり涙を浮かべながら笑う。


「お前なんていう名前なんだ?俺は…」

「僕知ってるよ、ナオでしょ?」

「おー良く知ってるな、そうだよ本当は塩井 直之って名前だけどな」

「僕の名前はね、サラン。サランガル=ファルテーロ=ユリレイア」

「…へ?」


俺の膝の上で子供…サランはきょとんと俺を見上げた。


「…え、お、お前…もしかしてアギアの…息子?」

「え、う、うん…」


こくんと首が縦に振られた。






僕が父様の子と言ったらかか様の顔が引き攣った。
え、ウソ。僕の事、父様の子って知らなかったんだ。
知ってると思った。だってこの髪の色だし…。
そっか、『向こう側の世界』から来たから知らないんだ…。

どうしよう。キライになっちゃうのかな、僕の事。
イヤだ。だって僕、この人スキなのに。
スキなのに…。

引き攣ったかか様の口から僕を拒絶する言葉が飛び出すのではと身をすくめていたら


「嘘だろ…アイツの子供がこんな可愛いなんて…っ」


え?



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