「…なあ リュス」

「はい」

「俺の旦那となる予定だったのは…そいつか?」

「はい!」

「ガキじゃねーか!!」


いや 大人だったら結婚しても良いとかそんなんじゃないが、予想外すぎて思わず言ってしまった。
明らかに目の前の少年は12、3歳。結婚なんて歳でもないだろうに。
昔の日本でもあるまいし…それともこの世界や王族ではこの歳で結婚・婚約とかありなのだろうか。
許嫁とか婚約者とか…うん。ありそうだ。

しかし相手は可愛い同じ年の女の子ではなく一周り近く違う大人の男の俺だ。
流石にそれは相手の事ながら可哀そう過ぎるぞ、オイ。


「ガキ…?」


ピクリと眉を動かして少年は俺に詰め寄った。


「王位を譲り受けてから10年近くこの国を守り続けてきた余のどこがガキだ?」


赤紫の瞳を怒りに燃やしてさらに俺に詰め寄る。


「女どもからは1度抱かれたら二度と他の男では満足できないと言わせれる余のどこが?!」


え…えええええ!!!!
爛れてる!むっちゃ爛れてるよこの子!?
というかどんなテクの持ち主なんだよ、コイツ!?


「お、王!今は幼少の頃のお姿なのですから…」


青くなったり、赤くなったりしていたリュスが声を上げて止める。
む…と小さく呟いて己の姿を見ると、ああと納得したように頷いた。


「申し訳ない。この姿であったら子供と見間違えられてもいたしかたなかった」


今度は申し訳なさそうな目でみる王に頭がガンガン痛む俺はついていけない。


「すまん…何を言ってるのかさっぱりわからん…」

「王は今年で22になります…が、諸事情ありまして…『今』は12歳の頃のお姿をしておられるのです」

「どんな諸事情でそうなるんだよ…」

「いや、龍の血を色濃くひく女を一晩のみの関係で終わらせたらな。呪われた」


それ朗らかに笑って言う事じゃねーよ! やっぱ爛れてんな、お前!
見ろよ、リュスがこめかみ抑えてんじゃねーか!
ってか、若返りとか、呪いとか、龍とか…。
なんつーファンタジー…。


「男の風上にもおけねーな…」


頭痛が痛む…あ、違うこれはおかしい。とか思いながら俺は小さく呟いた。


「今なんと?」

「男の風上にもおけねーって言ったんだよ馬鹿王が」


俺はびしぃっと王を指さした…つもりだ。
二日酔いで多少ぐらぐらしたのは目をつぶって欲しい。


「人の頂点に立つような奴が、人を悲しませてどーすんだ。
特に女、子供ってのは守って大切にしなきゃいけねーんだよ」


手前ぇなんざ呪われて正解だこのやろーと言った瞬間にぐらりと視界が歪む。

あ…やば…大声出したから…。
指さした状態で俺はこの世界に来てから二度目のブラックアウトを体験した



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