「いっ…つ」
後頭部がガンガンする。
手を後ろに回して撫でるとかなり大きめのコブが出来ていた。
それを撫でながら上半身を起こしてみるとそこは1泊うん十万とかでテレビでやっているような部屋だった。
俺が寝ているベッドもどこぞの金持ちが寝るような絢爛豪華でふっかふか。もちろんダブル…いやそれ以上のサイズ。
「お…おお…!」
ぎしぎしと身体を揺らしてふかふか加減を確かめて少しテンションが上がる。
まるでトランポリンだ…って
「ここどこだ?」
部屋をぐるりと見回すとドアがガチャリと開いてリュスが入って来た。
俺と目が合うと嬉しそうに微笑む。
「ああ、お目覚めですか!!」
「ここはどこだ」
「主の城でございます!」
まあ…予想はしていたさ。
「んじゃ、俺帰るわ」
俺は華麗にベッドから降りるとリュスに手を振った。
「え?! お、お待ちください!!」
慌ててリュスが引き止める。
「だから帰れないって言ったでしょう!?」
「なんで俺の世界から簡単なのに、こっちから行くのは難しいんだよ。納得出来ねぇ」
「それをお話すると長くなりますが、とにかく貴女様が帰ろうと思っても無理なのは事実なんですって!」
「んなのやってみなきゃわかんねぇ」
「わかりますって!自明の理です!なんでそんなに頑固なんですかっ?!
ああ…っ でもその性格、我が主の妃にやはり相応し…うえぉ?!」
リュスはまた足をはらわれて後ろに倒れた。
今度はベッドがあるから頭は打たなくてすんだみたいだ。
仰向けに倒れたリュスの顔の横に両手をつく。
「あっ…やめっ…貴女は我が主の…」
急に赤面するリュス。
「ばぁか 誰がお前なんか押し倒すか。今度俺を妃とか呼んだら…」
「呼んだら…?」
「…お前の顎がケツあごになるまで殴る」
「!!」
ばっと自分の顎を抑えるリュスに思わず笑った。
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