また、夢を見た。

それはさっきみたいに怖くなんかちっとも無い夢。

真っ白で綺麗な所を歩いていたら、いつの間にか隣にジュエさんが居て。
ふわりと優しく笑ったジュエさんと腕を引かれると、手を繋いだ。
本当は無い筈の腕は身体に見合った様な情けない様な細さで。
でもジュエさんがとても大切そうに握ってくれるから、それでも良いかなと思った。

ふと、繋いでいる自分の左手を見れば、薬指には貰った指輪が嵌っていて。
驚くほどぴったりなそれに、自慢げな顔をジュエさんはしていた。

二人で左手に指輪を嵌めて、手を繋いで歩いて行くだけの。ただそれだけの夢。
でもとても幸せな、温かい夢。


――きっともう悪夢は見ない。





- 終 -



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