5* 

ちゅ、と瞼に軽く唇を落とされて目を閉じる。


「ゴルジュ…挿れてイイ?」

「…はい」


顔を合わせると、ふっと微笑まれて尋ねられた。
キスをされてる時からジュエさんの猛りが腹部に当たっていて、彼の限界を伝えて来る。
それなのにちゃんと聞いてくれる優しさが泣いてしまえる程嬉しい。

ゆっくりとジュエさんの身体が沈み込むのと連動して、張り詰めた熱が潜り込んで来る。
いつも以上にじりじりとした動きの所為で、熱が、脈動が、今お腹のどこらへんにいるのかさえ分かってしまう。
丹念に解され、潤滑剤もたっぷり過ぎる程に塗られたそこは普段使われている所為もあり、痛みも無く思っている以上にすんなりと挿入ってしまう。
勿論、痛みは無いが圧迫感とそして満たされる幸福と快楽に腰が蕩けてしまいそうになるのだけど。

ぴったりと腰がくっついて、奥の奥までジュエさんのが入った事が分かった。
腰を僅かに持ち上げられているので、結合部までは見えなくてもくっついているジュエさんの下腹が見える。
引き締まった腹部にある臍の窪みをずっと下に辿れば、色気を放つ腰骨から続くラインが。そして彩りを加える下生えが形良く広がっている。
金髪であるジュエさんのそれは勿論金色で、薄らと下の皮膚が透ける程だ。
柔らかそうに見えるけれど、実際そんなにも柔らかくは無い事は抱かれる度に会陰をちりちりと擽るから良く知っている。


「なぁに考えてるの」

「ひゃう!」


余所事を考えるな、と言わんばかりに一つ大きく突き上げられて腰を跳ねさせる。
余所事なんて、と口を開こうと思えばキスで塞がれてしまった。
ぐちゅ…と濡れた音を立てて律動が始まる。
でもそれはいつもみたいに段々激しさを増す物では無く、波の様に緩やかな物だった。
ゆっくり引いて…後少しで抜けてしまうという所でゆっくりとナカに戻って来る。
ぴったりと腰がくっつくまで嵌め込まれると、ぐりぐりと押し付けられてそしてまた引いて…と繰り返される動きに、いつもの様にはしたない声では無く感じ入った様な吐息が漏れるのを抑える事が出来なかった。


「ん、ぁ……ふ、…ぅ…ジュエ、さん…」

「ゴルジュ…ね、抱きしめて?」


とろりと熱で潤む視界でジュエさんを見つめると、同じ熱の籠った視線を返しながらそう言われた。
でもそれは腕の無い自分には出来ない事で、一体どうすればいいのかと戸惑う。
求められているのに応えられないというのはとても悲しくて、途端に自分の中のうっとりとした熱が冷めて行くのが分かった。


「ああ、ごめんね。そういう顔をさせたかった訳じゃないんだ」


するっと頬を撫でて、困った様な笑顔をジュエさんは浮かべる。


「ただ、腕なんか無くても抱きしめる事は出来るって言いたくて」

「え?…ど、うやって…?」


首を傾げれば、ふっとジュエさんは微笑んで足を掴んできた。
そのままジュエさんの腰に回されて…


「ね?これも抱きしめるでしょ」


それは足でジュエさんを抱きしめている状態で。
まさか腕を無くしてから誰かを、好きな人を抱きしめる事が出来るなんて思っていなかったから思わず呆然とそれを見つめた。
段々と嬉しさが増して、心から溢れそうになる。顔を綻ばせながら確かめる様にきゅ、とジュエさんを抱きしめた。


「あうっ!」

「…んっ」


途端に二人で声を上げる。
ジュエさんを受け入れたまま腰に回した足に力を込めれば、それはつまり結合を深くする訳で。不意打ちの状態で互いに快楽を与えてしまったのだ。
慌てて謝るが、ジュエさんは嬉しそうにもっとしてくれて良いんだよ?と言った。


「もっと足に力入れて…上は僕が抱きしめるから、下はゴルジュが抱きしめて?」


柔らかい、でもどこか卑猥な匂いの漂う笑みを浮かべてジュエさんは抱きしめながら腰を揺らした。
さっきよりは速い、でも激しくは無い動きが切れまなく快楽を与えて。
無意識に動いてしまう内壁でジュエさんの熱を愛撫すれば、ジュエさんは快楽に目元を染め、自分自身も更に気持ち良くなってしまう。
快楽の終わらない循環。
でもそんな緩やかに高みを目指していくのも、絶頂が間近になれば緩やかさなど無くなる。

キスの雨が降り、むしゃぶりつく様な荒々しいキスをされながら激しく穿たれる。
ジュエさんが達する時のくせ。
はぁっ、はぁっとキスの合間に吐く荒い息にさえ感じてしまう。


「ゴルジュ、ゴルジュ…っ」

「あっあっじゅ、え…やっはげし…っあアぁ!ふっう、むぅ…っんっふぁっ」


ぎゅっと足で縋ればぐちゅぐちゅに泡立った結合部が更に音を立てて深くなる。


「や、ぁア!!きもち、きもちぃ…っじゅえ、じゅえさんっ」

「っは…最高、もう頭おかしくなりそ…っ」


はは、と笑いながらジュエさんは腰を振る。


「ああ、死ぬ時こうやって…っ抱き合いながら死ぬのも良いね…イくのと同時にさ、僕がゴルジュの首を絞めてあげる…」

「あっあぅっ…っんっか、は…っ」


するりと首に手が巻き付き、気管を抑えた。
じわじわとその力は強くなって行って、息苦しさを覚える。


「あいしてる…。あいしてる…っゴルジュ、ずっと、ずっと…っ」


一緒だから。
そう言ったジュエさんの瞳は狂気すら感じる程真っ直ぐで。
本当に、死ぬ時はジュエさんに殺してもらえるんだと。もう一人ぼっちになる事は無い…愛してる人とずっと一緒なのだと分かった瞬間、目の前が真っ白に弾けた。


「…ッ――――――――――!!!!!!!」

「ん゙っう、ぁ…っ!」


声が出ない程の快楽に身体中が強張り、ぎゅううっとナカも足も力が入る。
ガクガクと戦慄く腰にジュエさんが呻いて熱い精を注ぐ感覚に堪らない幸せを感じながら、意識が遠のいていった。



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