8* 

恋人の嬉しいお強請りに誰が応えないだろうか。
微笑みながら了解を示すと足を持ち上げて腰を押し進めた。
指が食い込んでいる内腿はただでさえ白いのに普段日に晒す事が無い為に更に白く、いくら男であろうとも柔らかい皮膚に覆われている。
さらりと撫でると身を屈めてきつく吸い上げた。
出来上がる朱い鬱血痕が白に映え、艶めかしいそれに所有印を刻む喜びに口角が上がる。
今はこれだけ。
後で彼が疲れて腕の中で肢体を投げ出している時に隈なく全身につけるつもりだ。

既に馴染んでいる中を確かめるように腰を回せば甘い声が上がる。
普段耳に心地良い歌を奏でる喉から発せられるそれが極上の響きを持っている事は言わずとも分かるだろう。
足から手を離し、肩の傍に付けば自然と結合が深くなって嬉しそうに組み敷かれた身体は啼いた。
シーツの衣擦れ、微かなスプリングの軋む音、喘ぎ声が混じって自身の身体を高ぶらせてゆく。
ゆっくりとした蠕動を与えながらツンと尖る胸の飾りにむしゃぶりついた。


「ぁっ!ん、ふ…ぁ…っ」


小さいそこはきつく吸えば取れてしまいそうだ。
それを舌で舐め、唇で食み、時折軽く歯を立てて甘噛みをする。
ちゅうちゅうと音を鳴らせば涙で潤み蕩けきった目がこっちを見つめ、口が震えながら開く。
いつも通り制止の言葉かと思えば、


「右ばっかりシないで…こっちも、シてください…」


そう言って胸を差し出そうと身動ぎをしてきた。
一瞬目を疑ったが、すぐさま要望に応える。
どうやら名前を呼ぶという行為は思った以上にゴルジュを快楽に蕩かしてくれたようだ。


「こっち弄って貰えなくて寂しかったんだ?ごめんね…」


そう言って零れ出る淫猥な笑みを抑えきれずに零しながら見せつけるように左の飾りを舐ってやる。
ぽろりと快楽からの涙が一粒目から零れるのを見届けて、腰の動きをだんだん大きくする。
抜く時は行かないでと引き留める様に絡み付く内壁。しかし挿入する時は拒むそこを掻き分けて進む。


「あっ、あっ、ふぁっん、あ!」


揺さぶり、抉る度にゴルジュが耳元で喘ぐ。
腕が無い為にしがみ付いたり、シーツを握り締めたりして快楽を逃がす術を彼は持っていない。
ただ必死に溺れてしまわない様に背中を反らせ、荒い息と共に快楽を逃がそうとする。
この時、行為の最中だというのにゴルジュに抱き締めてもらえないという寂しさを一番ひしひしと感じてしまう。
ひふひふと息をしながら快楽に虚ろになりつつある目を見下ろした後、額にキスを一つして身を起こす。

またさっきの様に足を掴み大きく開かせ、結合部を晒す。
ゴルジュのペニスは勃ち上がり、先端から透明な粘液を滴らせている。
その粘液は幹を伝い、先ほど舐めながら吐き出した白濁を絡ませている黒い陰毛へと垂れた。
それだけでも眩暈がしそうな程厭らしいというのに、白い臀部の間の熟れた赤が、己の醜い欲望を口いっぱいに頬張って美味しそうに咀嚼しているのだから堪らない。
僅かに捲り上げられた内壁を覗かせる結合部を指でなぞれば、ゴルジュの腰が嬌声と共に跳ねあがる。
その跳ね上がった腰を掴むと、痴態に煽り煽られ今すぐにでも臓腑を突き犯したい衝動を堪えて


「ゴルジュ…思いっきりいくよ…?」


そう宣言してずるりと抜き出した熱を最奥に抉るように叩きつけた。


「いっ…!は、ぁア―――――!!!!」


ドズンという表現が相応しい突きにゴルジュは目をかっと開き、腰を震わせて吐精した。
それを見て更に興奮し、腰をガツガツと叩きつける。


「ヒッ!いぁっ!あっあ――!!あ――!!!」

「っふ…っうっ」


濃い唾液を口の端から零して言葉無く喘ぐゴルジュは渦に巻き込まれる木の葉のように快楽の濁流にただ翻弄されている。
ナカがずっと痙攣しっぱなしなのが熱り立つペニスから伝わってきた。


「ああぁ、あふっ、やぁっアッ!じゅ、え…っじゅえ、さん…!!!イってる…っずっと、ずっとイってゆかやぁあ!あぁあアアぁ…ッ!!」


ぼろぼろと涙を溢れさせてゴルジュが叫ぶ。


「んっ、もっとシてあげる…っ」

「だめ、ダメッ、おれ、おえこわれちゃ…っこわい、こわいよ…っ」


カタカタと震えるゴルジュを抱き締めて囁く。


「大丈夫、僕がちゃんと直してあげるから」

「ほ、ほんと…?」

「ホント。だから安心して――…」



壊れちゃえ。



「やぁあああああ!!!じゅえ、じゅえ激しっ!!あぁあ、あああ…!!あ、あ、あ、どうし、よ、きもち、きもひい…っ」


とうとう啼きながら気持ち良いと繰り返す様になったゴルジュ。
自分で腰を動かして、快楽を貪る彼は夢魔の様に淫らそのもの。


「は、僕もそろそろ…っ出すよ…ッ」


腰のスピードを上げれば、更に善がり狂う。
本当に壊れてしまいそうで、壊してしまいそうで。
腕の中で壊れたゴルジュを想像して頭がくらくらした。
手を足に延ばし掴むと、足の指と手を繋ぐように指を絡める。


「ひぁああ!!!ヒッ、あ、ああああぁ、あひぁあっ!!」

「くっ…イくよ、イく…ッ…っう、ぁ!」


熱が破裂し、白濁を噴き出す瞬間に最奥に嵌め込み、腰を震わす。
べっとりとした白濁を吐き掛けられるの感じているのか、びゅるっびゅっと尿道を通り抜ける感覚に連動して太腿が震えた。
ゆるゆると腰を振り、尿道に残っている一滴まで内壁になすり付けると後孔から抜く。
取り出すとすぐに後孔はきゅぅっと閉まったが、僅かに口を開け、ひくん、ひくんと痙攣している。
ゴルジュもペニスと後孔で何度も達したようで全身を同じように痙攣させていた。
その薄い腹に手を置き、軽く押して力を入れる様に無言で促すと、ちゃんと働いていない意識の中、ゴルジュの尻と腹に僅かに力が入る。
途端、ヒクついていた後孔が震えながらこぽっと音を立てて白濁を吐き出した。
とろとろと尻を伝って吐き出される白濁をうっとりと眺めた後、疲れ切った恋人を抱き締めた。






シーツの下で身を寄せ合い、腕の中に彼を閉じ込める。
漸く意識が戻ってきた恋人にあんなに激しくするなんて…と少し叱られたが、気持ち良くなかった?と言えば、真っ赤になって黙ってしまった。
我ながら今日は結構濃かったかなとも思うが、それは今までゴルジュとシてきた行為の中ではであって、本当は口に出来ないような内容をしたいと目論んでいるなんて事は言えない。

身体を委ねるゴルジュを書き抱き、肩や首に何度も吸い付き、痕を残す。
僕の。僕の。これは僕の。


「…ジュエさん…」

「ん?」


囁きに顔を上げれば、聖母のような優しくもどこか寂しそうな微笑みを彼は浮かべていた。
その笑顔に言葉も無く見惚れる。


「大好きです…大好き…心の底から、貴方を愛しています…」


貴方だけを…。
という言葉に涙が溢れた。
愛してもらえる喜びがこれほどの物なのだといつも彼は教えてくれる。


「僕もだよ」


掠れた声でかろうじてそれだけ答えると、ゴルジュの頭を掻き抱いて欠けた角に口付けた。



頬を流れる温もりの名前は『幸せ』。





- 終 -



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