6* 

イヴワールさんに咥内を乱暴に犯されて、とても苦しかったのに感じてしまった。
喉奥に白濁を吐き掛けられた時には思わず耐え切れずに達してしまったほどに。
自分の身体の淫乱さに茫然としていたら、イヴワールさんにそれがバレてしまって。
恥ずかしさの余りに今すぐにでも溶けて消えてしまいたいと思って顔を枕に埋めていたが、これからはキスよりも…なんて事をイヴワールさんが言うから。
触れるだけで心が温かくなって、とても幸せな気分になれるあの行為をもうしてもらえないなんて堪えられない。
慌ててそんなのは嫌だと伝えれば、困った様に微笑んだイヴワールさんに「冗談だよ」とキスをしてもらえた。


「ふ、ぁ…」

「ん、バカだね、冗談に決まってるでしょ、キスしないなんて僕が出来る訳が無いじゃない」

「だって…」


冗談を本気でとらえてしまった事が恥ずかしくて俯けば、顔を上に上げさせられる。
青い宝石みたいな目が優しく細められた。


「ほら、口直し。不味かったでしょ」


イヴワールさんが持ち上げて示すのは綺麗なグラス。
喉を傷めやすい…というか、声を上げて枯れやすい俺の喉に良いらしい。
たしかに喘ぎ嗄らしてしまった朝に飲むとすぅっと喉に染み渡る気がする。


「イヴワールさんのだから不味く無かったです…」

「うそつき、不味かったくせに。それにね、そんな事お世辞でも僕に言っちゃダメ。…図に乗っちゃうから」


熱っぽくそう囁いた後、俺の目の前でイヴワールさんがグラスを煽り、顔を近づける。
イヴワールさんは口移しが好きみたいで、機会があればいつもこうやってして来る。
そして俺もそれが好きだ。
強請るように自分からそっと口付ければ隙間からゆっくりとほんのり甘い水が流れ込む。
それを飲み下しながら、初めてイヴワールさんにしてもらった口移しのワインを思い出した。
こんな風に甘くて、優しい味がした。
無意識にもぞもぞ身体を動かせば、べちゃっと気持ち悪い感覚が腰からして身を強張らせる。
唇を離して俯く。


「ごめん、なさい…」

「え?」

「俺、俺…」


冷たくなった精液が気持ち悪い。
あれだけで達してしまったなんて、イヴワールさん呆れてないだろうか。
不思議そうに俺を覗き込んでいたが、青い瞳が瞬いた後、何を指しているのか分かったと笑みの形に細められた。
タオルの下に手が挿し入れられて慌てる。


「僕のシながらイっちゃった事?」


直球な言い方に顔が沸騰しているくらい熱い。
言い訳も何も出て来ず、代わりに何だか押し潰されたネズミの吐息の様な変な声が出た。
そんなのを気にも留めず、イヴワールさんは笑みを浮かべて優しく内腿を撫でる。


「何で謝るの、僕嬉しいよ?」

「だ、だって、だって…」

「ふふ、恥ずかしい?」


その言葉にかろうじて頷くと、そうやって恥ずかしがってるのが可愛いと笑いながら言われてしまった。


「可愛い」

「そ、そんな事無いですから…」

「可愛いよ、食べちゃいたいくらい可愛い」

「止めてください…」

「だからもっと可愛くなってね」

「え?」


顔を上げると青い目を欲情で光らせたイヴワールさんと目が合う。
彼がふわりと浮かべたまるで物語の王子様の様な綺麗な笑み――でも絶対に物語の王子様はしないだろう淫猥な色の笑みに思わず見惚れている間に両足を持ってがばりと大きく開かせられた。
タオルは手早く取り外され、ベッドの下に落とされる。
両腕が無いと言うのはなんて不利なんだろう。
突っぱねて抗う事も、腕をつかんで止める事も出来ない。それどころか仰向けに固定されると顔を隠す術も無くなってしまう。
身体を揺すってもイヴワールさんにとってみればそんな抵抗無いような物で。
むしろ、お強請りしてるみたいと嬉しそうに言われるだけだ。

がばりと大きく開いて、おまけに腰を上に持ち上げられた状態で股の間を青い瞳が這う様に眺める。
風呂場で見られるのとは明らかに違うこのシチュエーションに慣れる事は無い。


「ねぇ、ゴルジュ。ゴルジュのココ、どうなってるか知ってる…?」


そっとあらぬ所をイヴワールさんの長い指が擽った。


「前はね、きゅってキツイくらいに閉まってたんだよ?
勿論その時も大好きだったけど、今は縁が美味しそうな濃いピンクでぷっくり膨らんでて…こうやってちょっと触っただけでひくひくって…ホント可愛い。
僕が弄ったからこんな風になっちゃったんだよね。僕が、僕だけの…」


うっとりと囁いていたと思えば、美味しそう…と呟いてそこをべろりと舌が這う。


「や、やめ、イヴワールさん!そんなとこ…っ」

「お風呂入ったから大丈夫…ん、」


縁を舐め回すイヴワールさんを止める術は無い。
多分さっき言った事は本当だ。以前は軟膏やオイルでゆっくり慣らさないとイヴワールさんの熱を受け入れる事は出来なかった。
それが最近はこうやって舐められるだけで解され、すぐに準備が整ってしまう。
緩くなってしまったのかと悩んだ時期もあり…だって、普通はキツイ方がき、気持ち良いと聞いた事があったから…恥を捨てて思い切って聞いて見た所、きょとんとした表情で見られた後、吹き出して笑われた。
一しきり笑ったイヴワールさんは、以前と比べて劣る所か気持ち良いよと優しく言ってくれたから少しは安心したのだが…。
いくら唾液だけで解す事が出来るとしても、オイルや軟膏もちゃんとあるのだから使って欲しい。
洗ったと言ってもそこは排泄器官である事は変わらない訳で――


「ふ、ぁあああっ!!!」


縁を舐めていた舌が突然中に潜り込まされて思わず背を仰け反らす。



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