XII 


影は焦げた大地よりも黒く黒く、まるでインクが染み広がる様に広がり、
ずるりとその影から得体の知れないモノが這い出てきた。
それは何よりも悍ましく、何よりも醜く、何よりも恐ろしかった。

人間は逃げ惑い、森番は竦みあがった。

森は、この得体の知れないモノ達が住む世界に繋がる扉となる力の強い土地を自らの身体で封じていたのだ。

森番は森を守っていた。
森は、この世界を……人間を、守っていたのだ。


領主は森番の腕を掴むと共に逃げる様叫んだ。
森番はその腕を見つめ、悲しげな微笑を一つ浮かべるとその腕を振り解いて影へ躍りかかった。



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