XI 


燃える場が広がらない様に樹を泣く泣く切り倒し、水を撒き、死にもの狂いで火を消そうとする姿に領民は哀れに思い火を消す手伝いを進んでしてやった。

森番を縛る森など無くなってしまえば良いと思うが、森番は森から離れようとしない。
このままでは森番も火に巻き込まれてしまうと領主も自ら付けた火を消し止めるよう力を尽くした。
しかしそれでも、森の半分は焼け落ちてしまった。

焼け焦げた森の上で森番は涙を流して泣いた。
自分がいながらどうして、と。
人間を信用した自分がいけなかったのか。人間を愛した自分が悪かったのかと責める森番の目の前で

じわりと

焼けた大地から影が染み出してきた。



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