IX 


ある日領主は森番に秋の祭りがあるから、それだけは来ないかと言った。

連日の様に領主の口から出る共に暮らそうという願いに応えられない申し訳なさや、以前からずっと聞いていた祭りや森の外の世界の話に、森番は少しだけ迷った後、一晩だけならと頷いた。


祭りに森番を連れて領主が出向く。
領民は森番の姿に驚きはしたものの、明るく迎え入れた。
その優しさに森番は心を打たれ、嬉しそうに顔を綻ばせた。

祭りは森番にとって初めて見る物ばかりだった。
身を飾る装飾具や良い香りのする香水、滑らかな絹の衣、そして燃え盛る炎。

初めての炎に森番は目を奪われた。
その横で領主が何をしているのかにも気づかない程に。



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