VIII 

領主は森番を愛した。
森番もいつしか領主を愛するようになっていた。
森での逢瀬は二人にとって何よりも楽しく、愛しい時間になっていた。

領主は森番を花嫁に、と望んでいた。
森はこれからも自分が領主として守れば良い。
領主は森番に森を出て、共に暮らそうと口にするようになった。

勿論森番は拒んだ。
それだけは出来ないと。
森に永遠に住み、ここを守り続けるのが自分の使命だからと拒み続けた。

いつしか領主の中で、森は森番を閉じ込める檻となっていた。



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