「あ…、な…何してんだ、よ…!」
「ん…ましろのだから…」
「ば、馬鹿じゃないのか!」
「…ばかでも良い…」
目を細めて俺の胸に鼻を微かに擦りつけながら呟いた。
逞しい腕で抱きしめられて言葉が詰まる。
素肌同士が触れ合う事で交換する熱がこんなに心地良いなんて知らなかった。
同じ歳とは思えない…いや、俺が貧弱なのかもしれないが、俺よりもずっと広くて逞しい背中をそろそろと撫でる。
「ましろ…」
熱っぽい眼で見た後、シロがベッドのサイドテーブルに身体を向け、引き出しに手を伸ばす。
戻ってきた手の平の中には
「…ローション?」
何故こんな所にローションが常備してあるのだろうか。
首を傾げる。
――…まさか…。
「…シロ、お前まさかここで…」
「………俺は使って無い」
一瞬押し黙った後、少し気まずそうに言ったシロの言葉に微妙に顔を引き攣らせる。
シロがそういう用途でこの部屋を使った事が無いのは嬉しいが、他の誰かは使った事があり、おまけにそういう物が置いてあると言う事は、むしろそういう用途の為の部屋であったりするわけで…。
「ひっ?!」
ぐるぐると考えていた俺の後孔に冷たい物がとろりと伝って、驚きの声が上がった。
「ましろ…美味そう…」
粘性の高いローションをシロに後孔に垂らされ、指で周りをくにくにと弄られる。
俺の気持ちが無かったとは言え、青葉によってそこで快楽を感じるようになってしまった俺はそれだけでぞわりと温い快楽が背筋を昇って来た。
「…色綺麗…あ、今、ヒクって…」
「い、言うなぁ…!!」
つぷつぷと指の先だけ時折入れられて、堪らず腰が揺れる。
「はぁ…っ、ましろ…指、挿入れる…」
興奮からか、熱い息がシロの口から洩れて首筋にかかった。
…何でだ。あんなに不快だった熱い息もこんなに愛おしく感じる。
シロの息が、声が、熱が、指が、全てが愛おしい。全てが…欲しい。
俺の返事を待っているのかシロの指が奥まで入ってこない。
震える唇で先を促すとすぐさま奥まで挿し込まれて背中が反った。
「ぁ…っ!」
「…はぁ…っ」
小さく洩らした声とシロの堪らないといったような熱っぽい溜息が重なる。
長い指のごつごつとした節をナカで感じる…。
難なく飲み込んだ指をシロは探る様に動かし始めた。
「…っぁ、…んっ、ん…っ」
「っ…中…すご…熱、くて…指に、絡み付いてくる…」
たまんねぇ…と息に掻き消されるほどの声が聞こえた気がした。
俺の事を気遣ってくれているようにゆっくり動かされていたそれが、だんだん荒く動かされていく。
はっ、はっと荒い息を吐きながら解しているシロを快楽で霞む目で捉える。
「し、シロ…っあぁっ!シ、ロ…っ」
既に3本入れて動かされる腕に手を伸ばしながら何度もシロの名前を呼ぶと、動きが止まって俺の言葉を待つように、優しげな、でも発情した眼差しで見つめられる。
「も、良い…から、シロも…辛い、だろ…?」
か細い声でそう口にする。
ベッドの横の橙の明かりしか灯っていない薄暗い部屋の中、シロの逸物ははっきりと見えないが、明らかに立ち上がって、限界そうに感じた。
少しくらい痛くたっていい、だから…と思ったのに。
「…駄目だ」
「っなんでっ」
「…もっと解さないと…ましろが辛い…」
でも口で否定しながらギラギラと欲情した目で俺を見下ろす。
「そんなの…っ 俺、大丈夫だから」
「駄目だ」
「シロ…」
「駄目」
頑として譲らないシロ。
「ほ、ら…俺は初めてじゃないから…な?大丈夫だよ…もう十分…」
「イヤだ」
まるでお預けをされている犬のように頑なに拒むシロに、俺は強硬手段に出た。
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