小さい風呂場にシャワーの音が反響して響く。
頭から湯を被って前に垂れて来る前髪を掻きあげ『られた』。
「…っ」
…俺は今、シロと一緒に風呂に入っている。
一緒に入った方が早いからと半ば無理矢理一緒に入った浴室は湯船なんか無くて、ただ本当に汗だけ流す様に、シャワーだけがあった。
頭の中は軽くパニック状態で、ただ、シロの手が俺に触れる度に小さくびくついてしまう。
機械的に置いてあるボディーソープを泡立てて身体を洗っていくが、俺の背後にシロが立っているのを意識してしまい、ぎしぎしと油のさしてないロボットの様に関節が軋むのが分かった。
…それにシロの目線を感じる。
気の所為かとちらりと後ろを窺った時にばっちり目が合ってしまい、慌てて前を向いた。
その時見えたシロの余りの色っぽさにまだ顔の火照りが冷めない。
ただでさえ湯を浴びている訳だから、尚更冷めず、俺はだらだらとシャワーを浴びた。
「…ましろ…」
「な、何、むぅ…っ!」
名前を呼ばれて、肩を跳ねさせながら返事をすると同時に後ろから唇を塞がれた。
ちろりと唇を舐められた後、口の中に柔らかい舌が入って来る。
キスだけはシロが初めてだから、舌の動きに翻弄される。
優しく歯列をなぞられ、絡められて、歯で食まれると脚がガクガクした。
「ん、ふ…ぁ…」
「ましろ…もう良い?」
唇を離した後、眉間に切なそうに皺を寄せながら俺を窺うシロの色っぽさは何とも言えない物で、俺は静かに首を縦に振った。
ここには寝室まであるみたいで、かなり大き目のベッドに裸のまま運ばれた。
ベッドに横にならされた俺の上にシロが覆い被さって来る。
「ましろ…ましろ、大好きだ…」
「うん…俺も…」
何度も唇を軽く重ねて、離れる度に小さく笑い合う。
こんなに幸せな気持ちで身体を重ねた事は無くて、喜びで小さく身震いした。
ゆっくりシロの顔が下りて行って、色々な所に唇を落される。
鎖骨、胸、鳩尾……臍まで来て、まだ下がるのかと思ってはっとする。
「し…」
シロ、と呼ぼうとした途端、パクリと自分のそれを口に含まれて俺は仰け反った。
「ふ、あ!」
まだそんなに芯を持っていないそこをふにふにと唇で食まれ、舌で鈴口を弄られると直ぐに熱が集まる。
硬くなったそれを口から出し、裏筋を何度も舐めあげられて俺はシロの髪に手を伸ばして必死に止めた。
「し、シロっ!汚い、汚いから!」
「ん…アイツはしなかったのか?こういう事…」
「しっ、してないよ!」
こういう事と言いながら先端に見せつけるようにキスを落してくるシロに思いきり赤面する。
アイツとは青葉の事を指しているんだろう。
青葉はこんな事は絶対しない。奉仕は俺がさせられる側だし、青葉がするなんて事ありえない。そもそも愛撫だってしないし、慣らしさえ俺にさせるのだから。
「…なら、もっとする…」
「へ!?あっ、やめ…っ!」
そう言ってまた頭を埋めるシロの髪を掴むが、初めての快感に指の力が抜け、ただ指をシロの髪に埋めているだけになってしまう。
「や、う…っやめ、汚い、からっ…あっ!う…ん!」
「汚くなんかない…ましろのだったら……」
それに…とシロが俺の太腿に唇を落して、きつく吸い上げた。
残った赤い鬱血痕を嬉しそうに指で撫でて、囁く
「アイツがして無い事を俺が全部貰う……アイツがした事は俺がそれ以上ので塗り替えてやる……」
「シ、ロ…ああぁ!」
不意に再び咥内に招き入れられて、腰が跳ねる。
さっきまでの優しく弄るのとは違い、吐精を促す様な動きに生理的な涙が零れた。
「や、やだ!あ、う、止めて、シロっ!で、でちゃ、出る、からっ!」
「ん…」
「あ、イ、ちゃ…っぁあぁああああっ!!」
思いきり扱かれて、白濁をシロの口の中に吐き出してしまう。
気だるく身にまとう心地良い余韻の中、そのまま中に残っているのまで吸われて慌てて身を起こしてシロの口元に手を差し出した。
「だっ、出せ!そんな物すぐにっ!」
喚く俺の手をシロが掴み、ゆっくり引き寄せる。
口元に持って行かれるかと思った俺の手は、何故かシロの喉に押し当てられて、何を…と口を開こうとした瞬間、
ごくり。
と喉仏が上下した。
何度か上下するその動きを手の平で感じて、俺はただ呆然とシロを見ているしかなかった。
そして、空っぽになった口でシロは
「ごちそうさま…」
淫靡な笑みを口の端に浮かべてそう、言った。
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