「ましろ…ましろの事が、俺は好きだ」

「で、でもっ」

「ましろが何を背負ってるとか…俺を何に巻き込むとか…関係無い。ましろは、俺の事好き…?」

「俺…俺は…」

「うん…」

「シロ、の事…す、…すき、だよ…」

「…っ、もう1回言って…っ?」

「好きだ、よ…」

「もう1回…」

「好きだよっ!」

「ましろ…っ!」

「うわっ?!」


感極まった様なシロにソファーに押し倒された。
服の裾から手が入って来て、何を求めているのか分かり慌てる。


「しっ、シロっ!俺は…っ」

「…嫌?」

「い、嫌じゃ無くて、俺は…」


僅かに体温が下がった気がする。
震える腕で身体を抱きしめる。


「み、見ただろ…?俺は…青葉に…あの時あそこにいた奴に……だ、かれてるんだ…それも1回や2回じゃない…もう何年も、何回も…。
最初は痛くて、気持ち悪くて堪らないだけだったのに、さ………は、はは…っ少し前からイっちゃえる様になったんだぜ…?後ろに男のモノ挿れたまま…っ!笑えるだろ…っ
俺は…っ俺は汚れてるんだ…よ…。俺は「ましろ…それ以上言うな」


ぎりっと肩を掴まれて、痛みに顔を歪めた。
恐る恐るシロに顔を向けると、余りの恐ろしい表情に身体が凍りつく。


「それ以上言ったら…俺はアイツを今すぐにでも殺しに行きたくなる…」


緩慢な動作でシャツのボタンを一つ一つ外していくシロの顔は虚ろではないが、怒りで無表情になっている。


「汚れてる?どこが…ましろは綺麗だ…俺とは違う」

「し、シロだって汚れてなんか…!」

「ましろ……俺が何人殴って来たか分かるか?…何人も殴って、何人も怪我をさせて……そうだ、心の無いセックスだって俺はした…」


ボタンを全部外すと、シロはするすると脇腹をなぞる。
それを眺めながら、うっそりと自分を嘲るような笑みを浮かべた。


「ただの性欲処理みたいな扱いだってした事があるんだ……な…?俺は、醜いだろ…?」

「そんな…っ!」


自嘲しながら泣きそうに顔を歪めるシロの頭を、身を起こして抱きしめる。


「シロはっそりゃ、そんな過去もあるかもしれないけどっ!俺は…俺にとっては大切で、俺の支えで、シロは醜くなんか…………あ…」


はっとシロが本当に言いたい事に気付く。
俺がこんな風に思うように、シロもこんな風に俺を思っていてくれているんだ。
俺が分かった事に気付いたのか、シロが小さく笑った。


「…俺を醜く無いっていうなら…ましろも汚れてなんかいない…」

「…っ」

「ましろはアイツの事が好きで抱かれた訳じゃないんだろ…?」

「そりゃっ…!」

「俺の事が好きなんだろ…?」

「そ、うだ…けど…」

「俺はそれで今は十分だ…」


もしも、まだそれでも自分が汚れてるっていうなら…俺が染め直してやる。と耳元で囁かれたと思ったら、カチャカチャとベルトを外されて慌てる。


「まっ!待てって!」

「…何で」

「何でって…そ、そりゃ、心の準備が…」

「…待てない」

「ちょっ!あ!シャワー!汗流さないと!」

「…俺は、そのままでも…」

「しっ、シロだってそれとか、落さないと…」


指でまだこびり付いている血を擦ると、すこし不機嫌そうに目を細め、身体を離してくれた。
でも少し思案する表情を浮かべると俺を横抱きにして歩きはじめる。


「ちょ、シロ?」

「シャワー出来たら…良いんだよな…?」

「へ?」


嬉しそうにシロは口に笑みを浮かべ、


「シャワー小さいの…ここに備え付けてあったはず…」




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