「お願い…俺…っなんでも、するからっ」
焦りで上手く回らない頭は捉えようによってはいくらでも青葉の好きなようにさせてしまう事を言ったが、青葉は許してくれない。
何度も震える声で懇願してもがいたがそれも虚しく、砂利を踏んでこちらに近づいていた存在が俺を、青葉によって乱れている俺を見た。
「……………え……?」
アタマが、真っ白になった。
目の前の存在が信じられない。
「………う、そ…ー………」
何で、何で、何で…。
「シ、ロ……」
ましろが居なくなった。
もう4日も顔を見ない。いや3日か?5日か?
とにかくどこにもいない。
先公に詰め寄って聞いてみると1週間程まとめて休むと連絡が入ってると言った。
でも家にはましろの気配がしない。
家の前で夜が明けるまで待っても、帰って来ない。
父親も帰って来ないから誰にも聞きようがなかった。
「…シロさん荒れてますね…」
「アイツが音信不通だとかなんだとか」
「アイツってあの結構綺麗な顔した?…そうなんっすか…」
「ボス痩せた…?」
各学年の頭達は真白に会えない事によって苛々しているシロを遠目にこっそり見守る。
「ど、どうしようか春臣ぃ…」
「国枝サンあんた一番年上だろうが。何か良い方法考えろよ」
「ええ、俺に頭を使う事は無理だって春臣も知ってんじゃんかよ!」
「胸張って言うな馬鹿」
「…あの人の家の事を知ってそうな親しい友達とかいなかったの…?」
「…」
「…」
「…いたな、そういや」
「流石カズ君!!!」
「…いやふつーに考え付くと思うんだけど」
和彦以外の2人はばたばたと真白の友人を連れてくる為に走った。
「お、おおおお俺になんの御用でございましょうかね…?」
そんなこんなで屋上まで引きずられて来られた泉。
――も、もう駄目だ、殺される。ごめんおふくろ、おやじ、先立つ親不幸な息子を許してくれ…。
見ているこっちが可哀そうになってくる程がたぶる震えながら泉は心の中で両親に謝った。
それも仕方がないかもしれない。
彼の目の前には暗雲垂れこめるLessの総長。
ただでさえ怖い存在が何故か非常にご機嫌斜めなご様子なのだ。
――お、俺なんかしたっけ?!ああ!!もしかして特別カレーパン限定30個の最後の1つを買った事か!?
シロの前で正座をしながらダラダラと汗をかく泉。
こんな事ならあんぱんにすれば良かったと本気で後悔した。
「…おい」
「あああごめんなさい!!もうカレーパン金輪際買いませんからっ!!!」
「…お前、ましろについて何か知らないか」
「カレー…は?ササ?」
泣きそうな勢いで土下座したが、予想外の人物の名前が出てきて思考が一瞬止まる。
「ササについてですか?…さあ?」
今は真白は家の都合で学校に来れない。
それは誰にも洩らしてはいけない。
どこから洩れて真白の親父さんの耳に入るかもわからないからだ。
その思いが泉の気を引き締めさせた。
それはほんの僅かな変化だったがシロには十分だった。
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