そのシロの視線に真っ青になる三塚君を目の端にとらえた。
このままではシロが何かしてしまいそうで慌てて止める。


「ちがっ、違う違う!!三塚君は何も…してなくはないかもしんないけど…。
待てっ!最後まで聞けっ!!三塚君は何も悪くないから!!違うんだよ!俺がビビりだってだけだ!!」


必死でシロを宥める。
そうすると落ち着いてきたのか、俺を膝の上に乗せて座りなおした。


「……ごめん…」


そうして再度悲しそうな顔をして誤ってくるシロ。


「…何が」

泣いてしまった事が恥ずかしく、ぶっきらぼうに答えながら袖でぐしぐしと涙を拭う。
シロは一瞬くしゃりと顔を歪めると、息を吸い込み


「俺が、『Less』の総長ってことを言わなかったこと、それと総長なこと、後…。
………ましろを、泣かせた、こと…」


と最後は詰まっていたが、言いきった。


「……お前が泣きそうになってどうすんだよ」


シロは項垂れながら何度目か分からない「ごめん…」を呟く。
俺は溜息をつきながら応えた。


「別にシロは悪くないんだ。
まぁ…確かにお前が直に来てくれれば俺は泣く事はなかったかもしんないけど…」


と言うとまた項垂れる。


「でも、それは俺がビビりって事の八つ当たりだから…。
あと総長であることと、それを俺に言わなかったことについては、俺に責める権利は全くないだろ?」

「え?」


がばりとシロはこっちを向く。


「だって昨日会ったばっかりの俺にそんなカミングアウトしろっていうのがまず無理じゃないか。
人はそれぞれ言いたくない事だってあるだろうし…。
俺はシロが宇宙人であろうが、何であろうがそれを告げなかった事を責めることは出来ないし、するつもりもないよ」


ぽかん…と口を開けるシロに続ける。


「というか人の過去とか今とか軽々しく聞いちゃいけないと思うからさ…」


低く俺は呟いた。
聞くからにはそれを背負い込む心づもりがないと……。
それに俺は聞いて欲しくないし、答えたくもない。
自分がやられて嫌な事を他人に強いる身勝手なことは出来ない。


「………じゃ、あ、俺が総長でも、ましろは嫌わないでいて、くれるのか―――…?」


縋りつく様に腕の力を込めて来るシロ。


「それはまた別の問題だけど」


そう言った瞬間にびくりと手が震えたが、それをぽんぽんと叩いて宥める。


「総長でも、シロはシロなんだろ?
昨日のシロが演技とかじゃないんなら俺は別にシロの事は嫌いじゃな―――」


『い』と言い終わるよりも先に思い切り抱きしめられた。
余りの勢いの良さにそのまま押し倒されそうになったのを、背中を筋肉をフル動員させて耐える。


「あれは演技じゃないっ。本当の俺だから……ましろ、ましろ…だから」


嫌いにならないでくれ、とシロは繰り返す。
その必死さに半ば苦笑する。
どうして俺如きに嫌われるのをそんなに嫌がるのだろうか。
もっと沢山の人がシロの周りにはいるだろうに。
シロに接すれば接する程、総長には合ってないのではないかと思えてしまう。


「はいはい、嫌いになんてならないよ。ていうか、あれが演技だったのかとか疑ってもないから。
そんな器用な真似シロには出来ないような気がするし」


そう言いながら笑ってシロの背中を軽く叩いた。



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