「へぇ…この学校には『シロ』が多いんだねぇ…」
「う?…うーん…うんまあそうだな」
泉は2人ってのが多いか少ないかは個人の感覚だろうと頷いた。
「ってかさぁ、お前彼女が出来たんなら言えよ!」
「はっ?」
「だから今日遅れたんだな?ちっくしょー羨ましい!
なになに?もう、ちゅーはしたのか?それともやることは全部したのか?!」
「まって待て待て。話が見えないんですが泉さん。
何をどう間違えて俺に彼女が出来たって思ったわけ?」
――まあ、ファーストキスは失ったが…。
「なんだよー隠さなくったって良いだろー?こんなところに痕つけといてさー」
「痕?」
ぴんと泉が俺の首筋を指で撥ねた。
そんな所に何かあるような事を昨日した覚えなんてない。
蚊でも噛まれたのだろうか…時期はまだ早い気もするけれど。
それともファーストキスを失うと何かしら印でも出てくるのだろうか。
「キスマークだよ。キ・ス・マ・ー・ク」
「…は?はぁあああああ?????!!!!」
泉のニヤニヤ顔を前に絶叫して首筋を押えて、トイレへと駆け込んだ。
鏡に映るのは、俺と、俺の首筋と、そこにある朱い痕…。
「うそ、だろ?」
鏡に映るそれを指でなぞる。
いつ、いつだ?!いつついたんだ!?てか、誰のだ!?
困惑する俺の頭に浮かぶ、今朝の事。
し…
「シロ―――――!!!!!!」
俺はトイレの中で絶叫した。
ふらふらと教室に戻ると泉がにやにやしながら聞いて来る。
「なっ?動かぬ証拠だろ?で?どんな子なんだよー」
「いや、これは…事故というか、なんというか…」
「あ、みーっけ」
ぽんっ
「ふへ?」
なんか色んな想いがぐるぐるしていると軽い声が聞こえ、後ろから肩を叩かれた。
さっきまでにやにやしていた泉の顔が驚愕で凍りついている。
すごく。それはもうすごく何だか嫌な感じがして後ろを振り向くと…。
「アンタが『ましろ』だよね?」
今まで喋った事は無いけれど、こっちはばりばり知ってる人が小首をかしげていました。
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