-8:27-


「おっはよ〜ササ。めっずらしいね、ぎりぎりじゃん?」

「泉…」

「どーしたのよ?すっごい疲れてるけど?」

「俺、自転車漕いでる間、風になってた…」

「なになに、寝坊でもしたん?」

「うん…」


ホントに珍しいねー今日は雨でもふるんじゃない?と無駄に朗らかに言うのは親友の泉 恭也(いずみ きょうや)。
中学校からの親友で、困った時に助けてくれたり、悩みとか相談事に乗ってくれる良い奴だ。
ちなみに、『ササ』というのはこいつがつけたあだ名だったりする。
中学時代、皆が俺を『白』と呼んでる時でも、こいつは俺のことを『ササ』と呼び続けてくれた。
高校になってからは皆『ササ』と呼び始めたけれど…。


「昨日夜更かしでもした?」

「いや…」


説明をしようと口を開いた瞬間に先生が入って来て、その話は中断された。
けれど俺は授業中もうわの空だった。

――昨日は普通に寝たのに、なんで寝坊したんだろう…?

いつもより、ぐっすり寝れた気がする。
そんな事をずっと考えていた。


4限目が終わって昼休みになると、何時もよりクラスがガヤガヤと騒がしい気がした。


「どしたの?」


使っていた教科書を片付けつつ泉を仰ぐ。


「いやなんかさ、『Less』の総長が久しぶりに登校してきたらしいよ」

「『Less』の?!」


世間話にうとい俺でさえも『Less』の話は聞いたことがある。
高校生の集団グループで、暴力沙汰でいろんなやばい事をしているとか、警察に喧嘩売って勝ったとか、どこぞのグループと対立してるとか…。
とりあえず良い噂は聞かない。


「なんでも俺らと同い年らしいぜ?」

「うっそ…去年知らなかったよ?」

「だって、今年越して来た奴みたいだもん」

「こっち来て、すぐにそんなグループの総長になっちゃったの?!」

「そんだけ強いんだろ?まあ見た事ないけどなー」

「でも本当にこの学校に総長がいたんだねぇ…」

「ああ…そうだな」

「『Less』の上の人がいるってのは知ってたけど…」

「あー三塚ってやつだろ?1コ下の」

「そうそう…関わりたくないなぁ…」

「俺も…ほら、総長って『煉獄のシロ』とかいう奴だろ?」

「…………『シロ』?」

「そうそう。だからお前この学校入ってから『白』って呼ばれなくなったんだぜ?」


一瞬家にいるシロを思い浮かべたが、即座に否定する。
いやいやいやいやそんなことないね!だってあのシロだよ?
ってか、俺昨日正座させてまで怒ったし。



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