金では手に入らない。書物の知識でも得られない物を、共に見つけよう。
ゴォンン… ゴォンン…
低い低い鐘の音が鳴る。
それは地面を揺らす程の響きで、一体どこから響いているのか、何を意味しているのかを知らない者でも聴いているだけで畏怖を起こさせる。
ゴォォオン… ゴォオン…
段々近づき、大きくなる鐘の音。
銀の鎧の下で汗ばむ身体を感じながら、手に持つ大剣を握った。
手に嵌めている皮の手甲と柄が擦れてキシキシと高い音を立てるのを他人事の様に耳にして、岩陰に潜む。
指示通り部下は配置についた。
後は目標がこちらの思惑通り動いてくれる事を願わんばかりだ。
ふっと空が陰ったと思えば突風が叩きつけ、バキバキと木が折れる音が響いた。
剣を地面に突き刺しそれに耐え、顔を上げれば目標がすぐそこにいた。
そこはこちらが予期していた所から僅かの狂いしかない。
近くの叢に潜んでいた部下に手で指示を出し、空に一つ合図の花火を上げさせる。
色の付いた煙が一筋上がると同時に目標への攻撃が始まる。
自身も息を殺すと地面を蹴り目標へと向かう。
ゴォオオオオォオンンンンン!!!!
鐘の音が高らかにまるで叩き伏せるかの様に響き渡った。
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