頂きもの | ナノ

「ねぇねぇ!昨日、幸村君と上手くいった?」

次の日の朝、開口1番に聞かれたことがこれだった。

「……ちょっ…小鳥///」
「ふ〜ん、その様子なら、上手くいったんだ」

なら良かった、と、自分のことのように喜んでくれている小鳥。
ニコニコ笑っている小鳥を見ていたら、
もっと申し訳ない気持ちになって…

「小鳥、ごめんね…その、精市のこと」
「ううん!いいの!幸村君には、愛里が1番似合ってるし…」

それにね、と小鳥は続ける。

「私、新しく好きな人、できたから」
「…そっか、良かったね!!…………って、えぇぇえぇええええええっ??!」


も、もう?″

うん″

「だ、だって!昨日、精市に告ったばっかりじゃ…」
「あ、そうそう。昨日、私が振られた後なんだけど…」


※ここから、小鳥の回想シーン


幸村に振られた後、小鳥は泣きながらテニスコートの横を歩いていた。
涙が手で拭え切れなくて、
涙を拭おうと、制服のポケットに手を突っ込んだ。

「………っ……あっ………」

ハンカチ、忘れた。
もう最悪、と呟きかけたときだ。

「あの…どうかされましたか?」
「…?」

目の前には人が立っていて、自分よりも一回り背の高いその人を見上げると、
どこかで、見覚えのある顔だった。

『この人…テニス部の、柳生君?』

一応 何でもないです、と答えておいた。
それでも、柳生は心配そうにしていて、さっと柳生は彼女にハンカチを差し出したのだ。

「これで、涙を拭いて下さい」

そう言って彼女の手を取り、ハンカチをそっと握らせ

「それでは」

といって、テニスコートへ戻っていたのだ…という。

「…え、じゃ、じゃあ…ええっと……今度は、柳生君、てこと?」
「うん。そういうこと」

小鳥の話を聞いて、ポカーンとしている愛里に

「それにさ、言ったでしょ?」
「え?」
「私が告って、その後の結果がどうなっても、変わらず友達でいるって」
「え、ち、違くない?確か…
 私がもし付き合うことになっても、友達でいる…じゃなかった?」
「あれ?そうだったっけ?」

まあいいじゃん、と笑う小鳥。

「もう、本当に小鳥は…」

ちょっと困ったように眉をひそめて、ふふっ と笑った。

失恋して、本当にすぐ新しい恋を見つけた友達に少し呆れながら、
彼女が友達で本当に良かったと、窓の外に見える青空を見つめていた。



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