昼休みの屋上で、とてつもない早さでパンを完食する怪獣が一匹。 チョココルネ、クリームパン、ジャムパン、カスタードパイ、バナナロール… 見てるだけで胸焼けしそうになってきた。
「マジあいつ許さねぇ!」
どうやら怪獣ブン太はご立腹みたい。
ブン太の話によると、調理実習で作ったマフィンを今日の食後のデザートにしようと思ってたため他にデザートを持ってない、とのこと。
「あるじゃん、マフィン」
最後のフルーツサンドを口に運ぶ反対側の手にはしっかり握られたチョコマフィン。
「ちげーよ!これは俺が作ったやつ!問題なのは他の女子から貰うはずだったやつだよ!」
話にはまだ続きがあったらしく、調理実習のあと少し席を外した間に女子たちのマフィンは全部誰かの手に渡っていたとか。
「ブンちゃん残念じゃのー」 「なんでお前が持ってんだよ!どうせ食わねぇくせに!」 「ブンちゃん最近太ってきたからのー。それに名前がおるじゃろ」 「うるせー!彼女がいねぇ腹いせか!そんなだから彼女いねーんだろぃ!」
…仁王め。なんてことをしてくれたんだ。
彼女の立場からすれば他の女の子が作ったものは食べて欲しくないのかもしれないけど、うちは別。 糖分が足りないブン太ほどやっかいなものはない。 前は1日中機嫌が悪くて大変だった。ジャッカルにもすごく苦労かけちゃったし。
あっという間にフルーツサンドとマフィンを完食したブン太の手が伸びてきてあたしはあっさり捕らえられてしまった。
「ちょ、ブン太ここガッコ」
うーっと唸りながら、後ろから抱きついて首筋に顔を埋めてくる。 …甘いものが食べたくても食べられないジレンマに耐えてるのかな?さっきまで胸焼けしそうなほど食べまくってたのに。 昼休みの部室はいくら2人きりだからといって誰も来ないなんて言い切れない。真田が来たらそれこそ一大事だ。
「ブン太今日はもう我慢しよ?ほら、食べすぎもよくないしさ。仁王に丸い丸井なんて言われちゃうよ?」 「…いやか?」 「そりゃ度を超えたおデブは嫌だけど、」 「ちげーよ!」
ギュッとお腹の前に組まれた腕に力が入ったと同時に首筋に鈍い痛み。
「ちょ、痛い痛い痛い!」
抱き締められる腕の強さが苦しいのはもちろんだけど、噛みつかれた首筋がとりあえず痛い。痛すぎる。
「まふひー」 「…は?ってゆうか痛いってば」 「まるい!名前は嫌か?って聞いてんだよ」
やっと離してくれたかと思えばまたもやご立腹な様子。え、怒りたいのはあたしなんだけど。それに怒ってるなら腕も離して解放してほしい。
「お前もなるんだからな。俺、長男だし婿養子なんて無理だろぃ。だから我慢しろよな」 「…えっと、何の話?」
くるりと向き直ってブン太の足の間で向かい合う。
「なんねーのかよ、丸井」
ぶっきらぼうに言い放ってそっぽを向いたって、うっすら染まった頬は丸見えなのに。
「…ブンちゃん、甘いの、食べる?」
でもあたしだってきっとブン太に負けず劣らず真っ赤な顔 今ならリンゴの味がするかもしれない、いや、モモかな?なんて
「バカ名前」 「甘くなかったらごめんね」
「…宇宙一甘くてうめぇに決まってんだろぃ」
さぁ、召し上がれ
(俺が何味か確かめてやるよ)
081226
めろちゃんリクエストありがとうございました! 部室でほのぼのいちゃいちゃ。気に入っていただけたら幸いです。 ブン太噛み癖あったら萌えるなぁ…
球形無限連鎖3% みつ
*おへんじ もう…!みつちゃんのブンちゃんすてきすぎ! 噛み癖とかかなりわたしのツボだよツボ><えへへへ ブンちゃんだいすき!みつちゃんもだいすき!← ありがとうございましたー^^
めろ
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