スコッチ

「どう?美味しい?」


安室さんからポアロに来て欲しいって連絡をもらって、コナン君と二人で向かうと新作ケーキの試食して欲しいって話だった。
いくつかのケーキが並んでいて、最初は一つのケーキを色々考えならが少しずつ変えていこうと思っていたらしいんだけど考え始めたら楽しくなって止まらなくなったんだって。


【おいしい】

「甘さはどうかな」

【クリームがべちゃべちゃしてて、あまくない】

「クリーム…クリームか…コナン君はどう?」

「うーん…スポンジが甘いからクリームは甘くなくていいと思うけど、これだとクリームない方がいいと思う…あとちょっと水っぽい」

「…純歌ちゃんもそう思う?」


頷くと安室さんは「そっか」とメモしていく。

試作段階のケーキを試食してもらって、意見をメモして改良していくのはいいと思うけど子供舌の私たちでいいのかと疑問になる。
子供舌の人に聞いても甘くなるだけじゃない?多分真純ちゃんとかの方がいいよ、試食担当。というか梓さんでいいじゃん。


「そういえば、この前の事件の時。純歌ちゃん、梓さんに何言われたの?」

『?』

「ほら、波土さんのライブのリハーサルの時。帰る前に梓さんから何か言われてたでしょ?」

【しあわせにねって】

「…そう言われたの?」


うん、って頷くとコナン君も安室さんも首を傾げた。
コナン君が「何か知ってる?」って安室さんに聞いたけど、首を横に振った「知らない」って。


「僕もこの子の事はよく知らなくてね。話で少し聞いたくらいなんだよ」

「そうなんだ…」

「あぁ、でも確か…何年か前にベルモットが教育係になったとか聞いたかな…」

「べ、ベルモットが!?」

「うん。当時僕と一緒によく組んでた人物が頼まれたらしいんだけど、彼も潜入捜査官でね。そんなことしてる暇無いから断ったらしくて、そしたらベルモットになったって聞いたよ」

「そうなんだ…その断った人は今どうしてるの?」


コナン君が聞くと、安室さんは目を瞑って首を横に振った。


「そ、組織に…?」

「いや…自分から。潜入捜査官だとバレてね、逃げ場は無いからと」

「そう、なんだ…」

「本当はやりたかったと思うよ。彼は人柄も良くて誰からも好かれる性格だったし、たまにベルモットから話を聞いていたみたいだったから」

「へぇ…なんて名前の人?」

「スコッチ」

「…それ、この前世良の姉ちゃんが言ってた…」

「そう。あの時は少し焦ったよ」


「スコッチ」。

安室さんがそう言うと、頭の中でふと、どこかで聞いたことあるような言葉だなと思った。お父さんが話していたのか、どこで聞いたかは全く覚えていないけど。だけど確実に聞いたことあるなと感じた。


【すこっち?】

「うん。…分かるの?」

【きいたことあるなって】


そう書いてノートを見せると、安室さんとコナン君は少し驚いた顔で私の顔を見た。

どこだっけ。


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