工藤新一

朝ごはんを食べ終えて、お昼まであと少しって時間になった頃、外が騒がしくなった。何かあったのかなってお父さん達も気になりだした時、インターホンが鳴った。喉の機械のボタンを押してお父さんが受話器を取ると、そのスピーカーから騒がしかった理由が聞こえた。

この家に本来住んでいる、工藤新一って人が死んでると思われてたけど、目撃情報があって生きていたのでは?と今世間で騒がれてるらしい。今インターホンでお父さんと会話しているのはテレビ局のマスコミの人達らしい。


「うわ、ホントだ。全ての番組が工藤新一について語ってる」


景光さんがテレビを付けて確認すると、工藤新一が今まで解決した事件とか、どんな人物なのかとかの特集が組まれてた。塀の外からリビングの中を撮られたりすると困るからと、景光さんにカーテンを閉めるようにお願いされて閉める。景光さんがもし映って生きてることが知られたら困るからって。

急いで閉めて、お父さんの方を見ると質問責めされてて大変そうだ。


「ど、どうしようか…」

【ゆきこさんたちに、そうだんしてみる?】

「…そうする?」


ノートをお父さんの方にも見せて景光さんが聞くと、お父さんはマスコミの人達と会話しながら頷いた。
景光さんが携帯を取ってすぐに有希子さんに電話をして事情を話すと、「優作と相談するから少し待ってて」と返されたとかで、すぐに電話を切った。


「今日はお出掛けの予定だったけど…やめとこうか」

【でられなさそうだね】

「でも、なんで目撃情報が?」

【このまえ、ますみちゃんが、きょうとに行くっていってたから、それかな】

「京都?…修学旅行?」

【たぶん】

「なるほどなぁ…ん、純歌ちゃん携帯鳴ってるよ」


景光さんが指さした方を見ると、私の携帯から音楽が流れていた。画面に出てる番号は登録されてない番号で、誰だろうって首を傾げて出てみると「純歌ちゃんかな?」と優作さんの声が聞こえた。


〈ゆうさくさん?〉

《おお、本当に声が聞こえる…そうだよ、優作おじさんだ。お父さんはいるかな?》

〈いま、マスコミの人と、おはなししてます〉

《そうか。じゃあ、景光君はいるかな?》

〈います〉

《変わってくれるかい?》


そう言われて携帯を景光さんに渡すと、キョトンとした顔で受け取って、優作さんと少し話をして電話を切った。


【ゆうさくさん、なんていってたの?】

「すぐに有希子さんと日本に来るって」

「二人が来るのか?」


いつの間にかマスコミの人達の対応を終えたお父さんが、少し疲れたような顔で戻ってきた。隣に座ってお疲れ様って頭を撫でると、頭を撫で返される。


「事が終結するまで日本で過ごすって」

「その方がいいだろうな」

【しんいちって人、こわい人たちに何されたの?】

「うーん…」

「まだ純歌には早い話だ。知らなくて大丈夫」


難しい話だって景光さんは言った。

今でもテレビは「工藤新一」について語ってる。これまで数々の事件を解決していて、警察も頼りにしている程の高校生探偵。お母さんの有希子さんは元々日本を代表する大女優で、お父さんの優作さんは今も大人気シリーズの世界的有名な小説家。

大変だなぁ、有名人は。


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