小学生

結局、コナン君を景光さんに会わせるのは保留になった。景光さん曰く「怪しい」って。


「どう考えたって怪しいだろ…」

「どこがだ?」


コナン君が帰って、有希子さんも飛行機で海外のお家に帰った後。景光さんはソファで頭を抱えていた。その隣に座って、小さい手で背中をよしよしって撫でる。


「小学生で組織のことを知っていてFBIに加担していて零の事を知っていて大人顔負けの知識を持っていて普通に殺人事件の犯人を推理してるところが!!」


ごもっともな意見だと思います。

小学生だろうがなんだろうが、知恵を貸してくれるなら借りるべきだとお父さんは言うけど、小学生は普通「ニット帽に血糊が吹き出る仕掛け付けて、死んだフリして変装して生きればいい」なんて知恵でないと思うの。出ても「死んだフリ」だけかと。


「純歌ちゃんと隣の哀ちゃんはともかく、組織に関わりない人間が組織のこと知ってる時点でおかしいだろ…」

「何故君は“灰原哀”の事を理解しているのに、“江戸川コナン”のそこに辿り着かないんだ」

「は?」


お父さんのその言葉に、景光さんは抱えていた頭を上げてキョトンとした顔でお父さんを見つめた。


「彼の知識量は小学生男児のそれじゃない。だが、“灰原哀”がこの世に存在しているのなら、彼だってそうだと考えられるだろう」

「…薬で幼児化した?」

「おそらくそうだろう。俺もまだ正体は知らない」

「正体が分からない人間の事信じられるお前が怖いよ」

「いや、予想付いてる。が、まだ本人の口から聞いてないというだけだな」

【コナンくんは、しんじていい人?】

「あぁ、大丈夫だ」


そう言ってにっこり笑うお父さんの顔を見て、景光さんが小さく悲鳴を上げた。お父さん、今あなた「沖矢昴」じゃないの、「赤井秀一」なの。

二人とも、「沖矢昴」が染み付いてるなぁ。


「そうだ、純歌」

『?』

「コナン君から、今度鈴木博物館に行かないかと提案されたんだが。行くか?」

「鈴木博物館…って、今度怪盗が盗みに来るって予告した博物館か?」


たまに新聞やニュースで名前を見る有名な怪盗さんが、宝石を盗みに行きますって予告状まで出してる博物館に、コナン君が行くとかで着いてくる?って聞かれたんだとか。

鈴木博物館は、園子お姉さんのお家が管理してる博物館で、今度は世界最大級と言われるほどの大きな宝石を展示するって、昨日テレビで取り上げられてた。


「俺も一度会ったことがあるが、人に害は及ぼさないタイプでな。あのボウヤはキッドキラーと呼ばれているらしく、あの怪盗が来る時は必ず呼ばれてるらしい」

「へぇ…」

「その日は、俺も諸伏君も用事があってついて行けないが…ボウヤと毛利探偵もいるらしいから大丈夫だろう。どうする?」


んー、って少し考えた後に、ノートに「行きたい」って書くと、お父さんはコナン君に私だけ行くことを連絡してくれた。


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